理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: C-S-05
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セレクション口述発表
健常野球選手における後期コッキング肢位での上腕骨頭移動、肩関節後方関節包厚および肩関節可動域指標の関連性
石垣 智恒山中 正紀江沢 侑也加藤 巧武田 直樹菅原 誠
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抄録
【はじめに、目的】投球動作における後期コッキング肢位で、肩甲上腕関節後方関節包拘縮は上腕骨頭を上方へ移動させ、肩関節障害に寄与することが示唆されてきた。これまで肩甲上腕関節後方関節包拘縮が上腕骨頭移動に与える影響は、in vitroで計測されることが多かった。Burkhartらは、野球選手において拘縮した関節包の肥厚を確認した。それゆえ、関節包厚の計測によって関節包拘縮が評価できると考えられる。また、これまで肩関節評価における肩関節可動域指標として、GIRD(glenohumeral internal rotation deficit)、total rotation ROM conceptが用いられてきた。本研究の目的は、超音波画像診断装置を用いて計測した肩甲上腕関節後方関節包厚と後期コッキング肢位における上腕骨頭移動との関連性を検討するとともに、関節包厚および上腕骨頭移動と関連する肩関節可動域指標を検討することである。【方法】対象は大学野球選手7名(19.3歳±0.8歳、身長169.1cm±6.8cm、体重62.7kg±6.5kg、野球歴9.3年±3.1年)とした。MyLab 25超音波ユニット(esaote)を用いて、上肢体側下垂位での肩甲上腕関節後方関節包厚、上肢体側下垂位および肩外転90°最大外旋位(後期コッキング肢位)での肩峰上腕骨頭間距離を計測した。上腕骨頭移動は、後期コッキング肢位における肩峰上腕骨頭間距離から体側下垂位での肩峰上腕骨頭間距離を減じた値とした。肩関節可動域計測は、被験者を背臥位とし、投球側および非投球側の肩関節90°外転位での内旋角度および外旋角度を計測した。可動域計測には傾斜計(Human Performance Measurement,Inc)を使用した。可動域指標として以下の3項目を算出し、検討した;(1)内旋差:非投球側内旋角度から投球側内旋角度を減じた値、(2) 外旋差:投球側外旋角度から非投球側外旋角度を減じた値、(3) Total ROM差:非投球側と投球側との全回旋可動域の差。統計解析にはSPSSを使用し、関節包厚、上腕骨頭移動、各可動域指標との関連をピアソンの相関係数にて検討した。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は北海道大学保健科学研究院の倫理委員会によって承認された。被験者には事前に実験内容を説明し同意を得た。【結果】肩関節後方関節包厚は、後期コッキング肢位における上腕骨頭上方移動と有意な相関を示した(r=-.773, p<.05)。また、外旋差のみが後方関節包厚(r=.831, p<.05)および上腕骨頭上方移動(r=-.767, p<.05)と有意な相関を示した。【考察】本研究は、in vivoにて、後方関節包拘縮が後期コッキング肢位での上腕骨頭上方移動と関連することを示し、過去のin vitro研究の結果と一致する。また本研究結果は、後方関節包拘縮が肩関節外転位での外旋可動域の増加を導くとしたBurkhartらの概念を支持する。野球選手における後方関節包厚の増加や肩関節外旋可動域の増加が、後期コッキング肢位における上腕骨頭上方移動を導き、投球障害の発生に影響を与える可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】本研究結果は、後方関節包拘縮が後期コッキング肢位での上腕骨頭上方移動に影響を与えることをin vivoにて明らかにした。また本研究は、これまで投球障害肩に対する肩関節内旋可動域制限が注目されてきた一方で、肩関節外旋可動域計測も重要な評価項目であることを示唆した。
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© 2013 日本理学療法士協会
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