理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: B-P-03
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ポスター発表
当院における脳卒中片麻痺患者の短下肢装具作製時期からみたFunctional Independence Measureへ及ぼす影響について
渡部 友宏瀧 昌也谷本 正智酒向 敦裕
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キーワード: 脳卒中, 短下肢装具, FIM
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抄録
【はじめに、目的】 脳卒中片麻痺患者に対するリハビリテーションにおいて、装具療法の占める割合は大きい。また脳卒中治療ガイドライン2009からも発症早期による装具療法や練習・頻度の増加は高く推奨されているが、急性期病院の在院日数は限られ、装具処方をすることは少ない。評価用装具では、様々な症状を有する患者個々の状態に調整、適合するのは困難であり、そのため回復期にて装具作製をする意味は大きい。しかしその処方時期とその後の日常生活活動動作(ADL)能力への影響について、散見する限り報告が少ない。そこで今回我々は、装具作製時期がFunctional Independence Measure(FIM)に及ぼす影響について調査したため、若干の考察を加え報告する。【方法】 平成23年11月から平成24年9月までに当院に入院し、短下肢装具(AFO)を作製した脳卒中患者23名(男性13名・女性10名、年齢72.4±9.1歳:右片麻痺9例、左片麻痺14例)を対象とした。方法は入院からAFO完成までの期間(完成期間)が3週間未満をA群10名、3週間以上をB群13名に分け、2群の年齢、発症から入院までの期間、入院日数を比較した。また、装具完成後の練習量(装具完成日から退院日/入院期間×100、装具練習量)を完成期間と比較した。またFIM退院時得点から入院時得点を引いた値(FIM利得)を移動項目、運動項目、総得点の項目で比較した。統計はMann-WhitneyのU検定を用い、装具練習量と完成期間の関係はSpearmanの順位相関係数を用いた。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は愛知県済生会リハビリテーション病院の倫理委員会の承認を得て実施した。また個人情報保護に配慮し調査を行った。【結果】 年齢、発症から入院までの期間、入院日数の2群間に差は認めなかった。移動FIM利得はA群4.3±1.2点、B群2.8±1.8点でありA群が高値を示した(p<0.05)。運動FIM利得はA群22.4±8.4点、B群15.4±8.8点でありA群が高値を示した(p<0.05)。総合FIM利得はA群29.4±8.0点、B群20.8±11.0点でありA群が高値を示した(p<0.05)。装具練習量と完成期間の関係は負の相関を認めた(r=-0.77、p<0.05)。【考察】 本研究では、装具完成時期の違いがFIMに及ぼす影響について検討し、AFO作製患者において移動項目、運動項目、総得点に有意差を認め、装具作成時期が早いほど練習量が有意に多かった。才藤によると、行動変化は練習量に依存して生じ、その練習量と頻度が重要な因子と述べている。また、回復期脳卒中片麻痺患者において歩行効率向上には装具療法が有効であるとの報告もある。つまり装具の早期完成が装具療法の練習量の増加となり、行動変化が得られ、FIM利得の各項目に影響を及ぼしたと考えられる。AFOの有用性については、尖足緩和、体重支持量改善、歩行速度の増大に関与することは多くの諸家が述べている。また吉尾によると荷重連鎖に基づく運動学習観点から、きちんとした踵接地に続いて足底が接地することが重要と述べ、個々の患者に適合したAFO着用は歩行能力・歩容の改善が期待できる。Schmidtは、学習にとって最も重要な変数は練習そのものであり、練習量に加え練習の質も重大であると述べている。また、才藤らは麻痺疾患の歩行練習において装具は自由度制約を通し難易度調節を行い、運動学習過程をスムーズにすると述べている。装具の早期完成は、練習量に加え個々の患者に適合した装具により効率の良い運動学習を進めることができ、適切な歩行練習、ADL練習ができるものと考える。【理学療法学研究としての意義】 今回の研究により早期のAFO作製が、その後の練習量を増加してFIM利得へ影響した。これらの結果は、理学療法を行う上で、より効果的な歩行練習、ADL練習が可能になるものと考える。
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© 2013 日本理学療法士協会
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