理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: C-P-47
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ポスター発表
大腿骨近位部骨折術後患者におけるリハビリテーションへの参加状況と機能予後との関連
相澤 健大武田 賢二相澤 恵子荒井 香澄白石 明日香庄司 綾市川 信通大浪 更三石井 洋田中 尚文
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抄録
【はじめに】リハビリテーションへの患者の参加はリハビリテーションの成功を左右する一因である。大腿骨近位部骨折術後のリハビリテーションにおける患者の参加状況は身体活動量を反映し、機能予後と関連することが報告されている。ただし、認知障害が参加状況に及ぼす影響は検討されていない。認知症は予後不良因子の一つではあるが、認知症を合併していてもリハビリテーションへの参加が良好である例も観察される。今回、われわれは、大腿骨近位部骨折術後のリハビリテーション目的で回復期リハビリテーション病棟へ入院した患者を対象にして、リハビリテーションへの参加状況と機能予後との関連を、認知症の存在を考慮して検討したので報告する。【方法】対象はX年3月~X+1年7月の間にA病院回復期リハビリテーション病棟に入院した大腿骨近位部骨折(頚部骨折および転子部骨折)術後71例のうち、重篤な合併症または脳血管疾患の既往を有する例、転院によるリハビリテーション中断例、そして受傷前歩行に介助を要していた例を除外した39例である。なお、本研究では入院時のMini Mental State Examination(以下MMSE)スコアが23点以下を認知症ありとし、さらにMMSEスコアにより、軽度認知症群(23~18点)、中等度認知症群(17~12点)、および重度認知症群(11~0点)に分類した。対象の内訳は、男性/女性が12/27例、平均年齢は82.0歳±6.5歳、術式は人工骨頭置換術/骨接合術が7/32例、平均入院日数77.7±17.3日、平均総単位数180.4±66.7単位であった。認知症は30例に認め、重症度別では軽度認知症群/中等度認知症群/重度認知症群は10/9/11例であった。機能評価にはFunctional Independence Measureの運動項目(以下mFIM)を用い、入院時と退院時に評価した。リハビリテーションへの参加状況の評価にはPittsburgh Rehabilitation Participation Scaleを用いた。これは、理学療法介入毎に担当療法士が患者のリハビリテーションへの参加状況を1~6の6段階でスコア化する観察評価尺度であり、入院期間のスコアの平均値(以下PRPS)を算出した。統計学的分析では、認知症なし群と認知症あり群の入院日数、総単位数、入院時mFIM、退院時mFIM、およびPRPSをマン・ホイットニーのU検定を用いて比較した。PRPSと退院時mFIMとの相関関係はスピアマン順位相関係数を用いて検定した。なお、有意水準はいずれも0.05未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言を尊重して企画し、当院倫理委員会の承認を得た。対象者の個人情報の取り扱いについては、入院時に対象患者およびその家族に口頭または書面をもって説明し、同意を得た。【結果】対象全体ではPRPSと退院時mFIMに有意な相関を認めた(rho=0.56、p<0.001)。認知症あり群と認知症なし群の2群に分けて検討すると、入院日数、総単位数、および入院時mFIMに有意差はなかったが、PRPSと退院時mFIMには有意差を認めた(p<0.05)。PRPSと退院時mFIMの相関は、認知症なし群では有意でなかったが、認知症あり群では有意であった(rho=0.65、p<0.001)。さらに認知症の重症度別に両者の相関を検討すると、軽度認知症群では有意ではなかったが、中等度認知症群(rho=0.91、p<0.01)と重度認知症群(rho=0.80、p=0.011)では有意であった。【考察】本研究では、リハビリテーションへの参加状況と機能予後との間に有意な関連を認めた。とくに中等度以上の認知症の合併例においては、参加が十分に得られず機能予後が不良である例も存在するが、参加状況は機能予後と有意に関連し、良好な参加が得られれば機能予後が良好となることが示唆された。認知症を合併していない例や軽度の認知症合併例においては、参加状況と機能予後との間に有意な関連を認めなかったが、これは参加状況が不良であった例はなく、機能予後はほとんどの例で良好であったためと考えられた。【理学療法学研究としての意義】本研究により、大腿骨近位部骨折術後のリハビリテーションにおいて、中等度以上の認知症合併例であっても、リハビリテーションへの参加が良好であれば良好な機能予後が期待できる可能性があることが示された。今後、認知症合併患者の参加状況に影響する要因を明らかにすることができれば、その要因へ介入することによって参加状況が改善され、機能予後を向上させると考えられる。
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© 2013 日本理学療法士協会
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