理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: A-O-13
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一般口述発表
歩行時180°方向変換時の頭頚部、体幹、骨盤の分節運動に対する6 軸センサの妥当性についての研究
仁木 淳一浅井 友詞酒井 成輝杉山 文水谷 武彦水谷 陽子
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抄録
【はじめに、目的】高齢者における転倒の要因として歩行、立ち上がり、方向変換動作が7 割を占め、さらに直線歩行よりも方向変換動作の転倒率が高いとの報告もある。Aftab E. Patlaらによると健常若年者は方向変換動作に先行して、頭頚部が回旋すると報告している。一方、高齢者では歩行時に頭頚部を固定する特徴があり、さらに方向変換動作においても頭頚部、体幹、骨盤の分節運動が減少し、頭頚部を固定しているとの報告もあるが転倒との関連性は不明である。方向変換動作に関する研究は、三次元動作解析システムを用いたものが多く、非常に高価であり、臨床応用は困難であると考えられる。近年、簡便かつ安価な加速度センサと角速度センサの2 種類が搭載された6 軸センサが実用化され、歩行周期時間の算出などに使用されている。しかし、方向変換動作のような不規則な動作に対して6 軸センサが有用であるかどうかは不明であり、検証する必要があると考える。そこで今回、我々は方向変換動作の分析を小型無線式の6 軸センサで試み、同時に三次元動作解析システムを計測することで6 軸センサの妥当性を検討することを目的とした。【方法】対象は、13 名の健常若年者(年齢:20.5 ± 1.5 歳)である。環境設定は3mの直線歩行路の最終地点に方向変換するための指標を設置した。歩行速度は自由快適速度とし、指標を軸に180°方向変換を行い、歩行開始地点まで戻るように指示した。計測には、小型無線ハイブリッドセンサWAA-010(ワイヤレステクノロジー社製) と三次元動作解析システムVICON NEXUS(VICON社製)を使用し、両機器の同期は圧センサ(Mega Electronics社製) と床反力計(AMTI社製)を使用した。被験者には赤外線反射マーカーをVICON Plug-In-Gaitモデルに準じて32 点貼付し、6 軸センサは頭頂、Th1 棘突起、S1 正中仙骨稜に装着し、圧センサは右踵部足底面に貼付した。サンプリング周波数は両機器ともに200Hzに設定し、検出されたデータはButterworth filterにてローパスフィルター補正を行った(遮断周波数6Hz)。6 軸センサから検出された各部位の回旋角度とVICONから検出された頭部、体幹、骨盤の回旋角度の時系列変化を比較した。6 軸センサに関しては検出された回旋角速度データをMicrosoft Excel上で積分し、回旋角度を算出した。統計解析は6 軸センサとVICON間の級内相関係数(intra-class correlation coefficient :ICC3,1)を算出した。【倫理的配慮、説明と同意】本研究は、倫理審査委員会の承認を得た上で、対象者には研究の趣旨を説明し同意を得た。【結果】6 軸センサとVICONから算出された回旋角度のICC3,1 は各部位とも高い値を示した(頭部0.994 ± 0.007、体幹0.986 ± 0.017、骨盤0.987 ± 0.014)。【考察】今回、6 軸センサとVICONとのICCが各部位において0.98 以上と非常に高い妥当性が認められた。先行研究における方向変換動作は三次元動作解析システムによる分析は多いが、角速度センサが搭載された6 軸センサで分析している報告は少なかった。しかし、今回の結果より方向変換動作のような不規則な動作でも6 軸センサは有用であり、より簡易的に計測できる可能性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】小型無線式の6 軸センサを用いた計測は、簡便かつ安価で、客観的に歩行分析ができるため臨床応用が可能とされている。さらに本研究により、方向変換動作のような複雑な動作でも非常に高い妥当性を示したため、より多くの動作解析が期待できると考える。
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© 2013 日本理学療法士協会
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