理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: B-P-20
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ポスター発表
重度脳性麻痺者の体重と脊柱側彎症の経年変化とその関係
古谷 育子大畑 光司寺尾 貴史常見 修平
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キーワード: 脳性麻痺, 体重, 脊柱側彎
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抄録
【はじめに、目的】重度脳性麻痺者(以下CP)の二次障害として脊柱側彎症の発症はよく知られている.脊柱側彎は長期に渡り年齢とともに著明な進行がみられ,嚥下機能や活動性の低下,呼吸障害や消化器系の障害など様々な障害を引き起こす要因となることが多い.我々は第46回日本理学療法学術大会にて,脊柱側彎の経年変化について研究を行い,発症の年齢により側彎の増加の推移が異なり,成長期にあたる時期に側彎の進行が顕著であることを報告した.しかし,体重などの体格評価の経年変化や,それらと側彎症の進行との関係について検討された報告はない.そこで本研究では更に体格の評価を加味して体重の経年変化を後方視的に追い,CPの身体的成長の傾向と脊柱側彎変形の進行との関係について検討することを目的とした.【方法】対象は当院に35年以上入院しており,粗大運動能力分類システム(以下GMFCS)レベル5レベルの脳性麻痺者6名(男性2名,女性4名)で,初期側彎評価時には側彎の発症が認められず,側彎の経過が追跡でき,定期的に側彎評価が可能であったものとした.平均年齢は40.2±2.1歳(初期評価時平均年齢2.5±1.0歳),調査期間は平均40.5±2.5年間であった.脊柱側彎変形は,毎年通常の診察時に撮影したレントゲン画像を用い,臥位での全脊柱正面像から,Cobb法によりCobb角の算出が可能なものを選択した.Cobb角の評価が不可な年については,前後の年から差を算出し推定値を算出した.体重は過去のカルテから収集し,1年間の平均値をその年の体重とした.その後,健常者の標準体重に対する対象者の体重のパーセンテージ(以下%)とZスコアを算出した.測定開始-9歳,10-19歳,20-29歳,30-40歳の各年代別のZスコアの平均値とCobb角の増加量について一元配置分散分析で検討した.【倫理的配慮、説明と同意】今回の研究は,後方視的に解析したものであり,通常の医療で行われたレントゲン画像の評価を用いている.データの使用に関しては院内での所定の規定による許可を得て行った.【結果】健常人の体重に対して,CPでは出生時に男女ともに差が見られなかったが,10歳時では男91%,女36%,20歳時では男64%,女42%,30歳時では男66%,女40%と低い値を示した.また各年齢における体重のZスコアは10-19歳において最も低い値を示し,この時期のCobb角増加量が最も高くなっていた.【考察】体重曲線は男女ともに20歳頃まで年齢とともに増加するが,脳性麻痺児の増加量は非常に緩やかで健常者と比較すると低い値を示した.成長期の体重の増加は身体機能の向上に伴う筋肉量の増加に伴って増える.しかし今回の症例は早期からGMFCSレベル4から5レベルであったため,体重の増加が低い値を示したと考えられる.また成長期の体重増加に伴って側彎が増大すると推定していたが,健常者と比較すると成長期に生じる体重増加は緩やかであり,特に10-19歳においてはZスコアが低くなっていた.この時期に側彎が増大することを考え合わせると,成長期における側彎増大の原因は,筋肉量の増加が生じないために適切な体重が得られないことに関連する可能性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】これまで重度脳性麻痺者の体格の指標について明らかにされたものはなく,成長過程やさらに成人となってからどのような過程を追っていくのか,また一般人との違いについてなど不明な点が多い.よって今回の研究により重度脳性麻痺者の体格の指標となるものが見いだされ,身体の成長過程の特徴や側彎の経年変化を把握することは,側彎症を含めた二次障害や,障害像などの予後予測を描くことができるのではないかと考える.そして今後の理学療法の評価の視点や治療プログラム,アプローチ,更に栄養やカロリーなどを立案するうえで重要な指標とすることができ,重度脳性麻痺者の関わりにおいて,適切かつより効果的な理学療法の提供に繋がると思われる.
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© 2013 日本理学療法士協会
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