理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-O-06
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一般口述発表
再入院の経験を持つ廃用症候群患者の特徴
過去5年間のデータを基に
竹岡 亨松田 淳子植田 俊哉槇場 瑞貴稲岡 秀陽
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キーワード: 廃用症候群, FIM, 転帰
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抄録
【目的】超高齢社会の急激な進行により医療費は増加の一途を辿っているおり、これを削減することは、日本の社会保障制度を維持する上で非常に重要な課題の一つであるといえる。在院日数の短縮は、この課題をクリアするための必要条件の一つであると考えられるが、一方、在院日数が短縮されることで、満足な医療を受けることができず、入退院を繰り返す症例が存在している可能性は否定できない。特に、廃用症候群の症例は、脳梗塞後遺症や心不全、腎不全などの多岐に渡る慢性疾患を既往に持ち、退院後も再入院のリスクが非常に高いと考えられる。事実、臨床場面においても、廃用症候群の症例が退院後早期に再入院してくることは稀なケースではない。しかし、どのような症例が再入院のリスクが高いかについて報告された研究は非常に少なく、ハイリスク群に対して、退院時に十分なフォローができているかについては疑問が残る。そこで今回、入退院を繰り返す廃用症候群の症例の特徴を調査した。【方法】対象は、平成19年4月1日から平成24年3月31日までに当院で廃用症候群の診断を受けた症例1549名のべ2178名(男性583名、女性966名、平均年齢80.5±10.3歳)である。なお、外科開腹術による廃用症候群の患者は、対象から除外した。調査項目は、対象の在院日数、転帰先、再入院経験の有無、functional independent measure(以下FIM)とし、FIMは、運動項目、認知項目に分類して調査し、入院時および退院時に評価した。対象者の中で、自宅退院者を抽出し、1年以内に再入院した症例をハイリスク群、それ以外をローリスク群とした。統計解析には、Stat View-J5.0を用いて、在院日数の比較には、対応のないt検定を行った。また、FIMの比較には、群と調査時期の二要因で二元配置分散分析を行った。多重比較には、Bonferoniを用いた。さらに、FIM下位項目の検討には、Kruskal-Wallis検定を行い、多重比較には、Bonferoniを用いた。有意水準は5%とした。【倫理的配慮、説明と同意】カルテからの情報収集は、医療法人同仁会(社団)診療情報管理規定に基づいて行った。【結果】全対象者の中で、自宅退院した症例は全体の54%で、うち1年以内に再入院したハイリスク群は31%であった。平均在院日数は、ハイリスク群で40.5±33.42日、ローリスク群で40.8±38.57日であり、対応のないt検定の結果、有意差を認めなかった。FIMは、運動項目がハイリスク群40.7±30.9、ローリスク群49.8±23.8、認知項目がハイリスク群23.4±8.1、ローリスク群27.1±8.9であった。二元配置分散分析の結果、運動項目で交互作用を認め、入院時は2群間に有意差を認めなかったものの、退院時には、ハイリスク群が有意に低い値を示した(p<0.01)。また、認知項目に関しては、交互作用を認めなかったものの、群に主効果を認め、ハイリスク群が入院時、退院時いずれも有意に低い値を示した(p<0.01)。認知FIMの下位項目の検討では、理解、表出、社会的交流、問題解決、記憶の5項目すべてで、ハイリスク群が有意に低い値を示した(p<0.01)。【考察】在院日数は2群間に有意な差を認めず、必ずしも在院日数が短いために入退院を繰り返す症例が多いとはいえないことが示唆された。当院では、入院中にケアマネージャーらを交えた退院前カンファレンスなどを行うことで、必要な社会資源の検討が早期から行われ、介護保険への引き継ぎ等がスムーズに進むようになった結果ではないかを考えられる。FIMに関しては、ハイリスク群で入院時より認知項目が低値となっており、退院時には運動項目も低値を示した。これは、認知機能の影響を受けて運動項目の改善が抑制された可能性を示唆していると考えられる。さらに、自宅退院後も認知機能が低いことで活動が制限され、二次的な廃用が生じ再入院するリスクが上昇するのではないかと考えられる。【理学療法学研究としての意義】本研究により得られた結果は、廃用症候群症例が自宅退院後、再入院するリスクについて検討する上で、有用な情報であると考えられる。また、評価結果を患者に対してだけでなく、その家族やケアマネージャーなどに対する情報提供時にも活用することで、対象者の周囲の環境をより適切に整えることができるという効果も期待でき、臨床的にも非常に意義があると考えられる。
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© 2013 日本理学療法士協会
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