理学療法学Supplement
Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: E-O-06
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一般口述発表
実践能力の習得を目指した長期間小クラス制研修の試み
-アンケート調査からの考察-
平田 学土屋 辰夫浅沼 満
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キーワード: 卒後教育, 研修, 少人数
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抄録
【はじめに】 神奈川県リハビリテーション支援センターでは県内の専門職を対象に30種類を超えるリハビリテーション専門研修を開催している。多くの研修は開催期間1~2日であるため、受講者が研修後に生じた疑問を解決にくく、一方的な知識や技術の教授になりやすい。それらの課題を改善すべく平成22年度より、PT・OTを対象に5か月にわたる研修を行い、一定の成果が得られたので報告する。【方法】研修の概要 受講者は主に県内の地域で働く5年未満のPT・OTとした。月1回、5か月にわたる研修の全日程に参加できることを前提として募集し、比較的臨床教育を受ける機会が少ない方を優先した。研修ではテーマを決め、それに沿って各回の内容によって講師を依頼した。講師には単なる知識の教授だけではなく、臨床ですぐに活用できる技術や考え方に重点を置くように依頼した。 また、受講者の主体的な参加を促す仕組みを取り入れた。1つ目の仕組みはクラス制である。受講者6~8名につき担任1名をつけた。担任は10年目前後のPT・OTが担い、実技アシスタントとして受講者をサポートした。さらに、朝夕各30分間のホームルームで研修内容を咀嚼して伝え、受講者の疑問解決を図った。2つ目の仕組みは目標設定と自己評価の実施である。受講者には各回の研修講師が決めた3つの達成目標を自己評価し、次回研修までの1カ月間の努力目標を記入してもらった。一旦回収した後、担任のコメントを添えて1週間後に受講者に返送した。これにより研修内容の臨床における活用と定着を促した。アンケート 平成22~23年度の受講者を対象に、全研修終了1カ月時に質問票を送付した。質問内容は「研修の期間」、「クラス制」の研修形式についての項目と、「患者・利用者の理解」「臨床の楽しさ」「自信について」についての研修前後の受講者自身の変化の項目について4段階で評価し、自由記載についても求めた。【倫理的配慮】 アンケートを実施するにあたり受講者に説明し、回答は無記名とし個人が特定できないように配慮した。【結果】 受講者は46名であり、PT23名OT23名であった。所属は病院31名(67%)、高齢者施設8名(18%)、身障施設2名(4%)、訪問5名(11%)、経験年数は平均2.0年であった。 アンケートの回収は46名中25名(54%)であった。期間に関しては、やや短い、短いと答えたものが19名(76%)を占めていた。クラス制について全員が良い、やや良いとの回答していた。研修前後での受講者の変化について、患者、利用者の理解については22名(88%)に改善が見られた。臨床の楽しさについては「やや楽しい」「楽しい」とした14名(56%)に変化はなかったが、11名(44%)に改善が見られた。自信について17名(68%)に改善、5名(20%)は変化なし、3名(12%)に悪化が見られた。 自由記載からは、少人数クラス制をとることで連帯感が強まったことや、担任に質問しやすい事をメリットとして挙げていた。毎回の研修内容を実践して次回にフィードバックを受けられるので、分からないことを抱え込まなかったとの感想があった。頭だけではなく体を通して学ぶことで理解が深まった、別のテーマでも開催してほしいなどのコメントがあった。【考察】 期間については短い、やや短いという意見が多く、臨床を通じて継続的にフィードバックする相手を求めていると考えられる。クラス制についてはすべて肯定的な意見であり、研修を行う上で良い仕組みと考えられる。研修後に患者の理解が改善したものが約9割を占め、実践的な内容の効果があったことを表している。受講後、臨床が楽しい、やや楽しいとしていること、手ごたえを感じつつ臨床業務に挑んでいると思われた。自信については改善したもの、変化したもの、悪化したものと評価が分かれた。悪化したものに関しては、適切な自己評価がすすんだことによる表れと考える。自由記載から、職場内外において臨床上の相談相手が少なく問題を抱え込みやすいセラピストも多く存在することが伺われた。そのような悩みに対して相談できる場として役に立ったと思われる。研修中の受講者の様子とアンケートの結果は一致するものであった。全体を通じて、臨床業務に取り組む上で必要な技術や考え方を伝えるという目的を一定の割合で達成できたものと考えられた。今後とも、県内の人材の専門性を高めるための取り組みを継続していきたい。【理学療法学研究としての意義】 報告した研修形式により臨床に即した技術や考え方を伝達できたと考える。理学療法士の卒後教育において実践教育の一形態を提案したことに意義があると考える。
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© 2013 日本理学療法士協会
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