理学療法学Supplement
Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-KS-22-4
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児童時期における重心動揺計を用いた動的バランス能力の検討
宮﨑 友望田村 靖明鈴木 康裕田邊 裕基出口 憲市岩目 敏幸
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キーワード: MIPS, IPS, 動的バランス
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抄録

【はじめに,目的】

姿勢安定度評価指標(IPS)を閉眼および軟面上立位で行う筑波大式修正IPS MIPSは動的/複合的な姿勢の安定性を示すと報告されている。これらの指標と,健常な若年者から高齢者との関連については明らかにされているが,児童に対しては不明であり,児童時期の運動/複合的な姿勢の安定性に及ぼす身体機能の影響を明確にすることでの際に有効な指標となる可能性がある。そこで本研究では,健常男児を対象としたIPSおよびMIPSと身体機能との関連性について検討した。

【方法】

健常男児57名(年齢10.±80.6歳)を対象とし,IPSおよびMIPSの測定は,それぞれ望月および鈴木の考案した方法に伴い実施した。測定機材には,重心動揺計(アニマ社製)およびバランスパッド・エリート(エアレックス社製)を使用し,開/閉眼片脚立ち検査 重心動揺計の検査台上にてIPS検査 検査台上に軟面をセットし,軟面上にて閉眼・直立させるMIPS検査の順で実施した。被験者には測定内容および方法を説明し,測定台上で前後・左右への重心移動を行わせ,測定の要領を得た後に開始した。MIPSの測定における被験者の立ち位置は,通常の重心動揺検査の検査台の上に敷いた軟面上で,足底内側を平行に10cm離した軽度開脚立位の足位とした。すべてのデータは平均値±標準偏差で示し,SPSSver24.0を用いて解析した。IPS MIPSと開/閉眼片脚立ちとの相関関係を,Pearsonの順位相関係数により検討した。なお,危険率は5%未満を有意水準として採用した。

【結果】

IPSと右閉眼片脚立ちはr=0.337 p<0.011 左閉眼片脚立ちはr=0.382 p<0.003といずれも有意な差を認めた。MIPSと左閉眼片脚立ちはr=0.322 p<0.015と有意な差を認めた。IPSと左右開眼片足立ち,MIPSと右閉眼片脚立ちでは有意な差が認められなかった。今回の対象者のほとんどがの利き足が右側であったため軸足となる左側での有意な差が認められたと考えられる。

【結論】

若年者から高齢者を対象とした先行研究では,IPSおよびMIPSは年齢との関連性が認められているが,本研究では年齢との間に有意な相関は認められなかった。これは,各年代で十分な対象者数を確保できていないことおよび男児のみを対象とした事が影響していると考えられる。

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© 2017 日本理学療法士協会
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