理学療法学Supplement
Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O-TK-01-2
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口述演題
Functional Independence and Difficulty scaleの予測妥当性の検討
齋藤 崇志松井 伸子渡辺 修一郎
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キーワード: ADL, 予測妥当性, 高齢者
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抄録

【はじめに,目的】

我々は,基本的日常生活活動(BADL)能力の「自立度」と「困難感」を評価する新たな指標(Functional Independence and Difficulty scale;FIDS)を開発し,信頼性と併存妥当性を報告してきた。しかしながら,在宅高齢者における将来の健康問題に対するFIDSの予測妥当性は検証されていない。この予測妥当性が明らかとなれば,将来の健康問題に対するリスクを有する在宅高齢者をスクリーニングする指標として,FIDSを活用することが可能となる。本研究の目的は,将来の健康問題に対するFIDSの予測妥当性を検証することである。

【方法】

平成26年4月にA県B村で行われた住民健康診断に自主参加した在宅高齢者の中から研究参加者を募り,面接法によるベースライン調査(調査1)を行った。2年後の平成28年4月に,郵送法による追跡調査(調査2)を行った。本研究における将来の健康問題は,「手段的日常生活活動(IADL)能力の低下」と「転倒」とした。

取り込み基準は,65歳以上,簡単な質問に口頭で回答可能,除外基準は,要介護認定を受けた者,全盲の者,とした。

調査1の調査項目は,一般属性,Barthle Index(BI),老研式活動能力指標(TMIG),FIDSである。FIDSは,14項目のBADL動作で構成され,14点から42点の得点を示し,高得点ほどBADL能力が高いことを示す指標である。

調査2において,TMIGと転倒経験を調査した。調査2において,TMIGの「手段的自立」の下位項目の合計得点が調査1より1点以上低下した者を「IADL能力低下」,過去1年間に2回以上の転倒を経験していた者を「転倒あり」と定義した。

統計学的手法は,将来の健康問題の有無により対象者を2群に分け,調査1の各指標をχ2乗検定とMann-Whitneyの検定を用いて群間比較した。次に,二項ロジスティック回帰分析を行った。従属変数は将来の健康問題の有無(0=問題なし,1=問題あり),独立変数は性別,年齢,FIDSとし,強制投入法を用いた。統計解析にはPASW Statistics 18を用い,危険率5%を有意水準とした。

【結果】

調査1の対象者数は225名であった。その中で,調査2において調査票を返送し,かつ,欠損値がなく解析可能であった者は,140名(平均年齢75.1歳,男性56名,FIDSの平均点41.1点,BIの平均値99.3点,TMIGの平均値12.4点)であった。この140名が解析対象者となった。

調査2において,IADL能力が低下した者が15名,転倒経験を有していた者が14名であった。これらの健康問題が生じた者は,生じなかった者より,調査1におけるFIDSの得点が有意に低値を示した(P<0.05)。

二項ロジスティック回帰分析の結果,将来の「IADL能力低下」と「転倒経験」に対してFIDSは有意に関連する要因であり,オッズ比はそれぞれ0.745(95%信頼区間:0.568-0.978,p=0.034)と0.657(95%信頼区間:0.489-0.883,p=0.005)であった。

【結論】

FIDSは,要介護認定を受けていない在宅高齢者における,2年後のIADL能力低下と転倒に対する予測妥当性を有す指標である。

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© 2017 日本理学療法士協会
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