理学療法学Supplement
Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O-YB-03-3
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口述演題
サルコペニア高齢者における骨格筋機能特性
山田 実石山 大介西尾 尚倫篠原 淳木村 鷹介阿部 祐樹小山 真吾佐藤 惇史大路 駿介音部 雄平田中 友也荒井 秀典
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抄録

【はじめに,目的】

2016年10月,サルコペニアは国際疾病分類に登録され,今後,臨床応用に向けた研究が加速するものと推測される。その中で,サルコペニアの骨格筋特性については未だ不明な点も多く,臨床応用に向けて種々の課題を抱えている。本研究の目的は,サルコペニア,プレサルコペニア,ダイナペニア,ノーマルの4群で,各々の骨格筋特性がどのように異なるのかを検証することである。

【方法】

対象は,地域在住高齢女性とし,重篤な骨関節疾患,中枢神経疾患,呼吸循環器疾患,肝疾患,腎疾患を有するものは除外した。AWGSの診断基準に従いサルコペニア判定を行った。また,AWGSの基準値を用い,骨格筋量は減少しているが運動機能は正常者をプレサルコペニア,運動機能は低下しているが骨格筋量は正常な者をダイナペニアと定義した。測定項目は,生体電気インピーダンス法による四肢骨格筋量(SMI),多周波インピーダンス計による大腿部のmuscle densityおよび筋体積量,超音波画像診断装置による大腿前面筋(大腿直筋,中間広筋)の筋厚および骨格筋内脂肪(IMAT)の推定,さらに徒手筋力計による膝伸展トルク(Nm)とした。なお,膝伸展トルクと大腿前面筋厚よりmuscle quality(Nm/cm)を算出した。これら測定値を,4群間(サルコペニア,プレサルコペニア,ダイナペニア,ノーマル)で比較するために一般線形モデルを用いて分析した(従属変数:各々の測定項目,独立変数:4群,共変量:年齢)。さらに,ノーマルと各群の効果量(Cohen's d)を求め,機能低下に伴い影響を受けやすい項目を検討した。

【結果】

高齢女性188名(80.6±7.1歳)が参加し,サルコペニア41名(82.9±6.6歳),プレサルコペニア14名(80.3±5.3歳),ダイナペニア60名(84.2±6.2歳),ノーマル73名(76.5±6.4歳)であった。一般線形モデルで有意であった項目は,SMI,筋体積量,IMAT,膝伸展トルク,muscle qualityであった(p<0.05)。効果量は,“量の指標”となるSMIと筋体積量でサルコペニアおよびプレサルコペニアで大きく(d=1.27-2.05),“質の指標”となるmuscle qualityとIMAT,“出力の指標”となる膝伸展トルクではサルコペニアおよびダイナペニアで比較的大きな値を示した(d=0.54-0.89)。

【結論】

サルコペニア高齢者では,骨格筋の量,質,出力の指標の全てが低下していることが示された。ダイナペニアはIMATが多くmuscle densityが低下した状態にあり,プレサルコペニアよりも骨格筋機能は低下した状態にあると考えられた。

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© 2017 日本理学療法士協会
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