理学療法学Supplement
Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-ED-17-5
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理学療法士を主眼に置いた目標設定シートの作製とその効果の検討
片岡 亮人藁科 秀紀
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抄録

【はじめに,目的】

近年,理学療法士の数は急激に増加しており,理学療法士の勤務先だけでなく,組織内に所属する理学療法士の数も増加している。組織内の人員が増加することで,病院の理念・方向性に沿ってスタッフを導くための人事戦略と人事制度が重要となる。特に,各スタッフの目標設定を明確に行うことはスタッフ教育の観点からも大変重要であると考えられる。しかしながら,現状,多くの病院で理学療法士やその他コメディカルにあった行動・業績目標設定が有効に運用されているかは疑問がある。当院でも,開院して間もない事もあり,的確な目標設定シートの運用が行なわれてこなかった。そこで,理学療法士を主としたコメディカル用の目標設定シートを作製し運用を行い始めたので,その内容と効果について検討したい。

【方法】

目標設定シートは当院に所属する全てのコメディカル(理学療法士,看護師,放射線技師,医療事務)が使用できるように意識し,行動目標と業績目標とに大別した。行動目標は,病院の理念・モットーに則して8つの事項を自己と上司による面談で決定・記載できるようにした。さらに理念・モットーに応じて行っている院内・院外行事への参加やその関与度が評価の対象となることも提示されるようにした。業績目標設定は年数・立場に応じて,臨床面・研究面・教育面などの具体的数字を上司が定めたノルマを記載するようにした。各項目には評価における重み付けの数字があらかじめ記載し,人事評価の際に特に重点となる項目が明らかになるようにした。評価には自己評価と上司評価があり,半年に一度,目標設定シートに沿って上司からのフィードバックが行なわれるようにした。この目標設定の運用開始した後,当院所属の理学療法士7名に目標設定シートの有用性についてアンケートを実施した。

【結果】

アンケートの結果,業績目標を数字化することは有用であり,行動目標を自己の中で明確することも仕事をする上で有用であったと,運用に対し肯定的な意見がすべてのスタッフから得ることができた。しかし,何を記載するか分かりづらい・記載する項目が多いなどの否定的な意見もあった。評価者は行動目標を明確にすることで,各スタッフの働き方・キャリアアンカーが明確となり,どのように仕事を配分するかの一助となったとの印象があった。また,就業内コミュニケーションにおいて何を誉め,何をどのように指導するのかが明確になったとの意見もあった。さらに,評価が定量化され他者との比較がしやすいといった肯定的な意見もあった。当シートを運用し始めて間もないため,今後も必要に応じ修正を行い,よりスタッフの働き甲斐に繋がるものに改善していきたい。

【結論】

理学療法士を主眼に置いた目標設定シートの作製し運用を行った。運用開始し間もないが,スタッフだけでなく上司・評価者にとってもその有用性を実感できるものであった。

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© 2017 日本理学療法士協会
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