理学療法学Supplement
Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-ED-18-1
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医療専門職における組織運営・管理への意識調査:質問紙調査法を用いた横断研究
理学療法士のキャリアアップに対する見解
山口 剛小田嶋 裕之八木 保藤本 修平
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抄録

【はじめに,目的】近年,毎年約1万人の理学療法士(PT)が誕生し,施設あたりのPTの職員数も増加傾向にある。そのため,役職を持つPTはこれまで以上に職場を管理し円滑に運営する能力が問われるが,管理者が管理・運営について学ぶ機会は治療技術を学ぶ機会と比して少ない。また,そのような管理能力について看護分野ではキャリアアップの一手段として捉えられているものの,理学療法分野では不明である。そこで本研究では,PTの組織管理・運営やキャリアアップに対する意識や必要な能力についてどのように考えているか把握することを目的に,調査を行った。

【方法】対象は教育機関Aを卒業したPT105名とし,自記式集合調査法による質問紙調査を実施した(実施月:平成28年9月)。質問紙は,先行研究(柴田ら,日看管会誌,2003;藤井ら,日看研会誌,2011)を参考にPT4名によるブレインストーミングを2回実施し,作成した。質問紙の内容は,基本属性(経験年数,年収,所属施設,役職など)とPTのキャリアに対する意識(資格取得の意識・動機など)や組織管理・運営に必要であると考える能力といった計15項目で構成した。回答法はプリコード法とし,一部の質問項目に関しては無制限複数回答形式を採用した。解析は,まずそれぞれの項目について記述統計を算出した後,基本属性とキャリアに対する意識,組織管理に必要であると考える能力の関係性についてχ2乗検定を用いて検証した。解析には,統計ソフトJMP.Pro11(SAS Institute. Inc)を用い,有意水準は5%とした。

【結果】質問紙の回収率は55.2%であり,そのうち有効回答数は58件であった。キャリアに対する意識として資格取得をしたいと考えた人の割合は81.0%であり,その主な動機は,自身の仕事の幅を広げるため81.0%(47名),自分の能力を向上させるため67.2%(39名),将来が不安であるため24.1%(14名)であった。組織管理・運営に必要であると考える能力として多かった主な選択肢は,コミュニケーション75.9%(44名),リーダーシップ56.9%(35名),組織内(他部署,経営層等)の情報48.3%(28名),治療技術46.6%(27名)であった。基本属性と各項目の間に有意な関連性は認められなかった。

【結論】PTが考えるキャリアアップに対する意識は高く,その主な動機は自身のスキルアップによるものであった。組織の運営・管理能力として,臨床技術やコミュニケーション,リーダーシップと同様にいわゆる労働上,法律上重要な管理もあることが報告されているが(田口ら,2009),その点について選択した者は少なかった。なお,本研究は1つの教育機関を卒業した者を対象としていることから特性の偏りは否定できず,一般化の限界に留意する必要がある。

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© 2017 日本理学療法士協会
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