理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-RS-1-18
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ポスター発表
クリニックにおける呼吸リハビリテーションの教育的影響
辻村 康彦秋山 歩夢平松 哲夫田平 一行
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抄録

【目的】患者教育はCOPD患者のケアにとって不可欠であり,慢性疾患における自己管理の基礎となる.今回呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)がCOPD患者の情報ニーズに与える影響を検討した.

 

【方法】対象はCOPD患者71例(平均年齢71.7±5.2歳,男性64例,女性7例).情報ニーズはLINQ(病気の理解度,薬,自己管理,禁煙,運動,栄養の6つの項目と総スコア)を用いて評価した.評価は,リハ開始時及び初回評価から6か月以上経過時点で実施した.検討は対象を初回評価時に十分な疾患教育や在宅療養・運動指導などのみを行い,その後リハビリを継続しなかった群(非リハ群)と,リハビリを継続した群(リハ群)に分け,呼吸リハが情報ニーズの変化に与える影響を検討した.また,呼吸リハの継続介入の優位性を検討するために,両群の6か月経過時のスコアを比較検討した.

 

【結果】LINQ総スコアはリハ群10.6±3.0→5.6±1.9,非リハ群9.9±2.6→7.2±2.1と両群改善していた.また他の項目も改善を認めたが,栄養は有意差を認めなかった.両群の6か月経過時スコア比較はすべての項目で非リハ群が有意にスコアが高かった.

 

【考察】十分な教育を含む呼吸リハは,COPD患者の情報ニーズに有効性を示すことが明らかとなった.また,何らかの理由で継続介入できなかったとしても,評価と共に患者教育を行うことで,一定の効果が得られることが認められたのは有意義なことと思われる.ただし、栄養に関する教育は,他の手段が必要であり,今後の課題である.今後症例数を増やし,さらに検討を進めると共に,情報ニーズの向上が何に効果をもたらすのかの調査が必要である.

 

【倫理的配慮,説明と同意】本研究はヘルシンキ宣言を遵守し,対象者には口頭にて本研究の趣旨・方法に関する説明を行い同意を得て行った.また,得られたデータに関しては個人が特定されないように,個人情報の保護に十分に配慮して検討した.

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© 2019 日本理学療法士協会
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