理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-RS-2-21
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ポスター発表
心肺運動負荷試験からみえた慢性閉塞性肺疾患に生じる労作時呼吸困難の一考察
亀田 光宏榊 聡子星 葵井上 翔太熊谷 雄基有馬 翔太山田 大介松永 康二郎
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抄録

【目的】

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対して,心肺運動負荷試験(CPX)を実施することで呼吸困難の特徴が推測可能であったため報告する.

 

【症例】

 当院呼吸器内科にてCOPDの診断を受けた患者2名(症例A:77歳男性,%VC 105.4%,FEV1.0% 42.2%. 症例B:84歳男性,%VC 92.7%,FEV1.0% 38.5%)とした.CPX は0-10Wのランプ負荷にて実施した.評価項目は,CPX中の一回換気量(TV)と呼吸数(RR),換気予備能(VE/MVV),下肢疲労感と呼吸困難感を修正Borgとし,安静時からend pointまで1分間隔で評価し考察した.

 

【結果】

 症例Aは運動開始4分の時点でRR19回,TVが1300mlまで上昇していたが,それ以降ではTVが定常状態となりRRのみ上昇,呼吸困難が増悪し始めた.運動開始6分でend pointとなり,下肢疲労感が修正Borg5,呼吸疲労感が修正Borg7でVE/MVVは60%であった.症例Bは運動開始6分の時点でRR22回,TV1300mlまで上昇したが,それ以降はRRとTV共に定常状態で呼吸困難感が増大した.end pointは,運動開始7分に回転数維持困難でend pointとなり,呼吸困難感と下肢疲労感ともに修正Borg4でVE/MVVは89%であった.

 

【考察】

 症例A・Bともに運動中のRRの変化が少なくTVが定常状態になった時点で呼吸困難感が増大し始めた.つまり,換気亢進に応答できない状態,かつ換気予備能より症例AではChest Tightness,症例Bではrespiratory effortが関与する可能性が示唆された.心肺運動負荷試験を実施することで運動中のRRやTVの変化を正確に捉えることで呼吸困難感の特徴をある程度把握することは可能であり,呼吸理学療法の治療選択に繋げる必要性がある.

 

【倫理的配慮,説明と同意】

人を対象とする医学研究に関する倫理指針に基づき,各症例に対して説明と同意を得た.

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© 2019 日本理学療法士協会
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