主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
【背景および目的】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は,急性増悪により入退院を繰り返す疾患であり,増悪頻度が多いほど生命予後が悪い.COPDの生命予後を予測する指標として2004年にBODE index(BODE)が発表された.一方で,急性増悪による入院を予測する指標の報告はほとんどない.今回,COPD患者に対してBODEを用いることで,入院を要する急性増悪の予測が可能か検討した.
【方法】
対象は2014年1月から2017年8月の期間中に当院の呼吸器内科に入院したCOPD患者46名を後方視的に検討した.退院日より180日以内にCOPD急性増悪と診断され再入院となった症例を急性増悪と定義し,急性増悪群と非急性増悪群の2群に分けた.調査項目は,退院時におけるBody Mass Index(以下,BMI),%FEV1,modified Medical Research Council(以下,mMRC),6分間歩行距離の4項目を収集し,そこからBODEを算出した.また,急性増悪群では再入院までの日数を診療録より収集した.欠損データのある症例は除外した.統計処理は,両群と調査項目に対し単変量解析を実施した.その後,優位差を認めた項目に対しROC解析を行い Area Under the Curve(以下,AUC)を算出した.
【結果】
急性増悪群は15名で非急性増悪群は31名であった.単変量解析の結果,BODEと%FEV1,6分間歩行距離に優位差を認めた.AUCはBODEで0.738(95%CI 0.58-0.897)であり%FEV1では0.657(95%CI 0.479-0.835),6分間歩行距離では0.683(95%CI 0.509-0.856)であった.
【考察および結論】
急性増悪の原因は多因子が関与するため単一の指標では予測することは難しい.一方BODEは栄養評価である体重や気流閉塞を示す%FEV1,呼吸困難,運動耐容能が複合的に含まれている.そのため,BODEはCOPD患者における退院後180日以内の急性増悪を予測できる可能性が示唆された.
【倫理的配慮,説明と同意】
人を対象とする医学研究に関する倫理指針に基づき,各症例に対し説明と同意を得た.