理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-CV-1-2
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ポスター発表
心臓血管外科術後患者の歩行能力と術後身体機能の関連
村田 雄二細見 恭介正木 信也
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抄録

【はじめに】心臓血管外科術後(以下心外術後)患者は心臓リハビリテーション(以下心リハ)の適応となっており、歩行能力の向上は心外術後患者の運動療法を考える上でも重要な要素である。今回、心外術後患者の歩行能力と術後身体機能との関連を検討した。

 

【対象】心外術後患者20例(AVR4例,CABG4例,MVP5例,MVR4例,その他3例)。平均年齢67.3±11.2歳、男性15名、女性5名。ICU退室までに当院開心術後パス(以下パス)の逸脱がなく、活動量計の管理の問題からせん妄、認知症がない者を対象とした。

 

【方法】パスに従いICUを退室する術後3日目から活動量計を装着し、入院中の身体活動量の計測を実施。200m独歩が可能となりエルゴメータでの運動療法がパス上、可能となった時点での年齢、BMIと身体機能(6分間歩行距離、TUG、握力、膝伸展筋力)の計測を実施した。統計処理は各測定値について事前に等分散、正規性を確認し、計測で得られた6分間歩行距離を従属変数、入院中の平均歩数およびその他の計測項目を独立変数としたステップワイズ法による重回帰分析を行った。統計学的有意水準は5%である。

 

【結果】6分間歩行距離と関連する独立変数としてTUGのみが抽出され、回帰式6分間歩行距離=532.036-19.822*TUGが得られた(R=0.783、R2=0.614、p<0.01)。多重共線性も問題はなかった。

 

【考察】先行文献では術前の6分間歩行距離運が術後退院時の6分間歩行距離と関連しているとする文献を認めるが、術後早期の6分間歩行距離と身体機能の関連をみた先行研究は少ない。今回の結果から年齢や握力・下肢筋力などのフレイルティの指標との関連は認めなかった。しかし、心外術後早期の歩行能力にはバランス機能が関連することが示唆され、このことから、バランス能力が低下した心外術後患者には早期からのバランス訓練も必要であると考えられる。

 

【倫理的配慮,説明と同意】本研究は後方視的研究であり、研究の趣旨を説明し同意を得られた者のデータのみを使用した。

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© 2019 日本理学療法士協会
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