理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-CV-1-3
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ポスター発表
要介護認定を有する入院期高齢心不全患者の特徴とADL
北村 匡大井澤 和大八重倉 政和今村 啓太永島 ひとみ
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キーワード: 要介護, 心不全, ADL
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抄録

【背景】

近年、心不全患者ならびに要介護度認定高齢者の増加は著しく、これは社会的な問題となっている。自立支援および重症化予防の観点より要介護度認定の高齢者におけるADLは有用な指標である。また、心不全を発症かつ入院する要介護度認定の高齢者においては、その特徴を捉え対応することが重要である。以上より、本研究の目的は、要介護度認定を有する高齢心不全患者の特徴とADLについて明らかにすることである。

 

【方法】

デザインは、後ろ向きコホート研究である。対象は、2012年1月から2016年5月の間に、急性期1施設にてリハビリテーションを受けた連続心不全患者の内、取り込み基準(65歳以上、初回入院、自立歩行)と除外基準(ペースメーカ―手術例、転科、死亡例)を満たした144例である。調査項目は、基本属性、医学的属性、要介護認定度、移動能力はRivermead Mobility Index(RMI)、認知機能は柄澤式老人知能の臨床判定基準(柄澤式)、そしてADLはFunctional Independence Measure(FIM)である。我々は、それらを診療記録より後方視的に調査した。要支援および要介護度(要介護度)認定の有無により2群に分類後、2群の患者特性を対応のないt検定、χ2検定にて解析した。有意差判定水準は5%未満である。

 

【結果】

要介護群(n=30)は、非要介護群(n=114)に比し、年齢は高値、退院時RMI、柄澤式、FIMは低値であった。また、運動器疾患の保有率は要介護群で高い割合を示した。(p<0.05)

 

【考察】

要介護認定高齢者では、運動器疾患保有率が高いことが示されている(久保田,2012)。また、運動器疾患を保有する高齢者の移動能力は低下しており、認知機能やADLとの関連性が報告されている(久保,2011)(福尾,2016)。本研究結果より、要介護度認定の入院高齢心不全患者は、運動器疾患を保有することから、これは、退院時の移動能力、認知機能、ADLへ影響する可能性が示された。

 

【倫理的配慮,説明と同意】

本研究は小倉リハビリテーション学院の倫理委員会によって承認されている。本研究の参加に対し、我々は、事前に研究の趣旨、内容及び調査結果の取り扱いに関して説明し、同意を得た。(承認番号:29-0302)

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© 2019 日本理学療法士協会
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