主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
p. C-32
加齢とともに増加する認知症は,著しい生活障害を引き起こし要介護状態の主たる原因となっている。認知症の根治療法や予防薬の開発が確立されていない現在において,認知症を予防もしくは発症を遅延させるための方法を検討することが求められている。
認知症の大半を占めるアルツハイマー病の発症と強く関連する因子として,身体活動の低下があげられており,運動習慣の獲得は認知症予防の面から重要であることが示唆されている。運動がアルツハイマー病予防に有効であるメカニズムはいくつかの仮説が存在し,運動による神経新生,神経栄養因子の発現,アミロイドβ クリアランスの向上などが動物実験で明らかにされてきた。近年では,人においても運動の実施により脳容量の増大が確認されており,運動によって過剰分泌する脳由来神経栄養因子と脳容量との関連が明らかにされ,認知症予防のための運動療法の重要性が認識されるようになった。本セミナーでは,運動が脳の健康に及ぼす影響と認知症予防の可能性について紹介する。