主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
p. C-31
スロージョギング® の生みの親である,田中宏暁先生(享年70 歳,福岡大学名誉教授)は,ヒトが無意識に走り出すスピードが時速6 ~ 7 km であることから,それ以下で走ることをスロージョギング® と定義した。多くの方がジョギングはきつい,と感じてしまうのは,走るスピードが速いためである。あえて,ゆっくり,歩くようなスピードでジョギングを行うと,主観的なきつさはウォーキングと変わらないが,消費するエネルギー量は約1.8 倍になる。すなわち,同じスピードで“歩く”場合と“走る”場合は,スピードが遅くてもエネルギー消費量が大きく異なる。主観的なきつさが同じであれば,ゆっくり走ったほうが肥満などの解消には効果的である。この「ゆっくり走る」ということを,スロージョギング® と名付けたのである。
運動はきついと長続きしない。ゼエゼエ,ハアハアするような,呼吸が激しくなるようなジョギングは,スロージョギングとは言えない。私たちは,ニコニコしながらお友達と会話ができる運動を,ニコニコペース® の運動と呼んでいる。ニコニコペース® の運動は,高血圧,肥満症,糖尿病,脂質異常症,心臓リハビリテーションなどの,いわゆる生活習慣病の予防及び治療として有効であることがわかっている。ニコニコペース® でスロージョギングを行うと加齢に伴い減少した筋肉量を増やすこともわかってきた。私たちは,平均年齢70 歳の方を対象に,1 分間のスロージョギングと1 分間のウォーキングを組み合わせた,運動トレーニングを,1 週間で80 セット,12 週間行うと,スタミナと下肢筋量が増加することを見出した。誰もが気軽にできるスロージョギング® は,元気で長生きするための効果的な運動である。
健康づくりのために何か運動を始めようとされている方,まずは1 分間のスロージョギングと1 分間のウォーキングを組み合わせて,10 分間の運動から始めてみませんか。