主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
【はじめに】現在厚生労働省は平成29年2月「我が事・丸ごと」地域共生社会実現本部決定に基づいて、地域共生社会の実現に向けた改革を進めている。地域共生社会とは高齢者のみならず障がい者、子どもそれぞれの制度が縦割りとなっている状況を、その地域ごとに人と人、人と資源が世代や分野を超えつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会を目指すものとされている。当院はこの状況を鑑みて平成28年度から大和市障害者自立支援センターと協働し、障がい福祉サービス提供事業者(以下事業者)との連携構築に努めてきた。そして平成29年度には医療と福祉の更なる連携を目指してリハビリテーション連続勉強会を実施した。この勉強会はリハビリテーション(以下リハ)の視点を支援員による日々の支援に活かしていくことや、リハ専門職と事業者が気軽に相談や連携し合える関係を構築することを目的とした。この一年間の活動を振り返り、考察するとともに今後の展望を述べることにする。
【方法】リハ連続勉強会は平成29年4月から毎月1回実施し、対象は障がい福祉サービス提供事業者や利用者とその父母とした。勉強会の広報は大和市障害者自立支援センターが行い参加者を募り、講師は当院の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が出来る限り複数名で担当することとした。開催時間はテーマに応じて日中に行ったり、夕方に行ったり適宜調整をした。内容はリハ専門職のそれぞれの職域についてや、意見交換会、支援者の腰痛予防の講話や体操指導、個別相談会、市が公園に設置している健康遊具体験会、事例を基にした相談会、実際の連携事業の報告会、利用者へ提供できる体操指導等と多岐に渡るものとし、事業者の興味が湧くようなものとした。
【結果】全12回の延べ参加者は219名となり、平均参加者は18.25±8.29名であった。参加者は事業所職員、利用者、父母、他市の養護学校教諭(リハ専門職)、精神疾患を持っている方を対象とした地域活動支援センター等であった。そして当院と法人契約を結んだうえでの訪問指導を希望する事業者が、新たに複数の申し出があった。
【考察】当院は平成29年度に大和市障害者自立支援センターと協働してリハ連続勉強会を実施した。勉強会を実施することで当院が今までに出会うことが極端に少なかった精神疾患を抱えた方との関りや、養護学校教諭との連携も生まれることになったことからも一定の成果は得られたと考える。地域共生社会の実現を目指すうえでは制度の垣根を超えた活動が必要とされる。そのためには自施設で待っているのではなく、アウトリーチをする必要があると考えている。リハ専門職の知識、技術、能力は障がい福祉サービス提供事業者にも有益であり、リハ専門職には地域共生社会の実現の一翼を担える力があると信じている。
【倫理的配慮,説明と同意】本研究は勉強会に参加された事業者、利用者の個人が特定できないように配慮して実施した。