主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
【はじめに、目的】
介護予防・日常生活支援総合事業の中で地域リハビリテーション活動支援事業は一般介護予防事業に位置付けられており、地域における介護予防の取り組みを機能強化するために通所、訪問、地域ケア会議、サービス担当者会議、住民運営の通いの場等へリハビリテーション専門職(以下リハ専門職)の関与を促進するものである。当院では平成28年度より通所事業所に対する支援を開始した。今回、通所事業所に対する地域リハビリテーション活動支援事業の介入効果について報告する。
【方法】
平成28年9月から平成30年2月の期間で杵築市内の通所介護事業所(5事業所)にリハ専門職を派遣し、自立支援に向けた関わりを通所介護事業所職員と共に実施した。具体的な指導内容は「自立支援型通所サービス生活機能向上支援マニュアル」(大分県福祉保健部高齢者福祉課)を参考に、生活機能の課題分析や体力測定方法および運動負荷量の設定、リスク管理等とした。体力測定は握力、開眼片脚立位時間、Timed Up and Go test(以下TUG)、5m歩行時間、30-seconds Chair Stand(以下CS-30)とし利用者19名(男性7名、女性12名、年齢82.5±7.3歳)に対して初回時と最終時に測定した。分析はWilcoxonの符号付順位和検定を用い危険率5%未満を有意水準とした。また、日常生活での変化と目標の達成度および通所介護事業所職員の変化についてはインタビュー調査を行った。
【結果】
体力測定では握力(p<0.01)、5m歩行時間(p<0.01)、CS-30(p<0.01)、TUG(p<0.05)に有意な改善を認めた。日常生活での変化と目標の達成度では約8割の利用者において改善を認めた。通所介護事業所職員の変化では「適切な負荷量の設定や、回数およびメニューの変更が出来るようになった」、「定期的に評価する事で利用者の変化が確認でき職員のモチベーションも向上した」などの肯定的な意見を多く認めた。
【結論】
地域リハビリテーション活動支援事業においてリハ専門職が通所介護事業所に支援を行うことで、利用者の生活機能の課題が焦点化され、目標設定と適切な運動メニューを結びつけてサービス提供する事が可能となり生活機能の改善が図れた。本事業は通所介護事業所の効果的なサービス提供や地域における介護予防の機能強化に繋がるものと考えられ、今後もリハ専門の積極的な介入が肝要である。
【倫理的配慮,説明と同意】
対象者には研究の趣旨と内容および調査結果の取り扱い等について説明し、同意を得て実施した。なお、本研究の参加に際しては、いかなる利益供与もなかった。また、本研究は杵築市立山香病院の倫理委員会における承認を受けて実施した。