主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
【はじめに,目的】
二分靭帯損傷は,画像診断が難しい損傷の一つであり,その要因の一つとして形態学的特徴が十分に明らかにされていないことが考えられる。そこで本研究では,大規模標本を用いて二分靭帯の形態学的特徴を明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は,固定遺体52体100足とした。二分靭帯の分類方法は,踵舟靭帯と踵立方靭帯が存在するものをType I,踵立方靭帯が欠損するものをType II,踵舟靭帯が欠損するものをType IIIと分類した。形態学的特徴としては,線維束長,幅,厚さを各靭帯束の中央部で測定した。
【倫理的配慮】
本研究で使用した遺体は全て死体解剖保存法と献体法に基づき教育と研究のために大学に献体された遺体である。また,本研究は本学倫理委員会で承認を得た(承認番号:17945)。
【結果】
Type Iは68%,Type IIは32%,Type IIIは0%であった。形態学的特徴としては,踵舟靭帯は,長さ約2 cm,幅約0.5 cm,厚さ約0.4 cm,踵立方靭帯は,長さ約1 cm,幅約0.5 cm,厚さ約0.2 cmであった。踵立方靭帯は,欠損するType,踵舟靭帯に比べ非常に小さなものや大きいものなどバリエーションが存在した。更に,位置関係として,背側踵立方靭帯の深層に位置するものも存在した。
【考察】
踵立方靭帯のバリエーションや位置関係が,二分靭帯損傷の画像診断を難しくしている要因の一つである可能性が示唆された。本研究結果は,画像診断上有用な基礎データとなると考える。