主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
【はじめに,目的】
高校野球選手の腰痛と殿部の柔軟性低下の関連性を,定性的評価法“大殿筋テスト”を用いて,他の下肢項目の影響も含めて検討した。
【方法】
対象は高校野球選手96名とした。腰痛あり群の定義は1.自覚的腰痛,2.体幹前屈または後屈時腰痛のいずれかがあることとした。大殿筋テストは,床上座位にて非検査側股関節開排位で検査側股関節屈曲・内転位にて膝を両手で把持し腰椎・仙骨上部を直立位保持可能であるかを判定した。統計はロジスティック回帰分析を用い,従属変数は腰痛の有無,独立変数は大殿筋テストに加えSLR,股関節内旋可動域,股関節屈曲時鼠径部痛,腰痛既往歴を強制投入し交絡因子を調整した。各測定項目は投球側・非投球側・打撃側・非打撃側の4パターンで検討した。
【倫理的配慮】
当院倫理審査委員会の承認を得た(承認番号WOCEC2018004)。対象には署名にて同意を得た。
【結果】
腰痛あり群32名,健常群64名であった。大殿筋テストは非投球側(調整オッズ比AOR:3.37,p<0.05),打撃側(AOR:3.07,p<0.05),非打撃側(AOR:3.11,p<0.05)でそれぞれ有意な独立変数であった。モデルχ2検定はいずれもp<0.01で有意であった。投球側は(AOR:2.85,p=0.056)であった。
【考察】
殿部の柔軟性低下は,他の下肢項目の良し悪しに関わらず高校野球選手の腰痛と関連することが示唆された。また,特に非投球側の殿部柔軟性低下には注意が必要と考えられた。