理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: O-024
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口述発表
介護予防ケアプラン作成にあたりリハビリテーション専門職からコメントを提供する試み
小林 信吾長島 秀幸柳町 健太小島 寿子
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抄録

【はじめに・目的】要介護認定にて要支援1および2に新規または更新認定された方に対し、必要に応じて介護予防サービス・支援計画書(以下、ケアプラン)が作成される。ケアプランを作成するにあたり、リハビリテーション専門職(以下、リハ職)の意見をコメントとして提供することで要支援者の自立支援・重度化予防に寄与するか検証したので報告する。

【方法】平成27年6月から平成29年11月まで(28回)地域包括支援センター所属の担当ケアマネジャ(以下、CM)7名より提供された、利用者の年齢、性別、要介護度、給付額、IADL(老研式活動能力指標)、LSA(生活の広がり)およびケアプランをもとに、リハ職により協議しケアプランに対する課題や提案についてのコメントをCMに返信した。1年間の経過を追跡できた82名を対象に、要介護認定の推移とリハ職のコメントをキーワード検索により出現頻度を集計した。また、実施後担当CMへリハ職のコメントに対するアンケートを実施した。

【結果】1年後の要介護認定においては82名中58名が維持されており24名(29.3%)が要介護に重度化しており、非該当は0名であった。維持されていた方の給付額においては2,767円であり著明な変化見られなかった。リハ職からのコメント82件においてキーワード検索を行った結果、活動56件、転倒29件、歩行23件、外出23件、参加23件、痛み19件が高頻度で出現した。CMからのアンケートの結果、リハ職からのコメントについて6名は参考になり、そのうち5名はケアプランの変更を行った。一方、1名のCMは参考にならなかったとの回答があった。

【結論】平成28年度介護給付費等実態調査の概況より要支援者の67.6%が維持されており32.4%が重度化しているとの報告がある。また予防サービスの1人当たりの費用額は3,560円となっている。今回の取り組みにおいても同様な結果となっており、リハ職のコメントは重度化予防に寄与するには及ばなかった。しかし、活動と参加に関したコメントにより、今後のケアプラン作成において自立支援、重度化予防についての具体的な考え方をCMへは伝達できたのではないかと考える。

今回の取り組みは、リハ職のみによる書類や指標のみでの一方向の発信となってしまった。ケアプラン作成に際してはCMを交えて双方向、できることならばご本人やご家族を交えての協議が必要なのではないかと考える。現在、市町村における新たな地域支援事業の一環として、地域包括支援センターにおける個別ケア会議が開催されている。さらなるリハ職の関与が必要であると考える。

【倫理的配慮,説明と同意】介護予防ケアプラン作成を依頼された際、氏名をコード番号化し、個人を特定でききない状態で、情報提供することに同意を得たうえで実施した。

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© 2019 日本理学療法士協会
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