理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: P-103
会議情報

ポスター発表
2nd日光100kmウルトラマラソンメディカルサポート活動報告
-競技時間内のウルトラマラソン参加選手の体調調査-
早間 雄貴中口 和彦矢嶋 俊一君嶋 綾福田 瑞恵佐藤 春香大藤 雅史鴇 威典星 裕章小林 考次
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【はじめに・目的】

2018年6月17日, 2nd日光100kmウルトラマラソンにN市の病院や施設等に勤務する理学療法士(以下PT)14名,作業療法士(以下OT)8名,言語聴覚士(以下ST)2名,計24名で,メディカルサポート活動し,競技時間内の選手の体調等を調査したので,報告する。

【方法】

大会当日の天気は曇り時々雨,最高気温は17.5度であった。100kmの部,約62.5km地点で,競技時間内にサポート活動を行った。PT・OT・STの職種の特性や視点を活かしつつ,昨年の大会では参加選手からサポート時間が長いとの意見も聞き、本エイドステーションの選手滞在時間5分を目標に行った。主な活動は,ストレッチ・徒手療法・マッサージ等とアイシングとテーピングに関しては選手の希望により行った。選手に問診表を直接記入して頂き,体調や不調の部位等の調査を行った。なお,不調の部位の頚部,背部,腰部以外は左右の合計件数とし,満足度と今後も利用したいかの問い以外は,複数回答可とした。

【結果】

参加選手1681名の内,18歳~74歳の331名の選手が訪れ,主な理由は,痛み160件,筋肉等の張り133件,筋肉が攣る45件,重さ38件,痺れ9件,疲れ4件,息苦しい3件,めまい3件,その他3件,特に無しが33件であった。不調の部位は,頚部7件,背部2件,腰部11件,肩49件,上腕2件,肘3件,前腕2件,股関節52件,大腿前面・外側192件,大腿後面85件,膝182件,下腿前面91件,下腿後面184件,足関節38件,足部40件であった。ストレッチ・徒手療法・マッサージ等は選手に合わせ,臨機応変に対応した。アイシング85件で,テーピングは51名,延べ98箇所に対応し,膝が40件と最も多かった。満足度は『非常に満足』83.7%,今後も『ぜひ利用したい』81.0%であった。自由記載欄は,『ありがとうございます。』20件,『助かりました。』10件,『初めてテーピングして,とても良かった。』等の感謝の言葉や,『後半も欲しい。』『もう一つ欲しい。』『スタート前にもテーピングして欲しい。』等の今後の活動に関する要望も頂いた。

【結論】

現在,地域包括ケアシステムを基に,地域でのPTの役割が介護保険領域を中心に拡大している。今後は介護保険領域に限らず,様々な分野でPTの活動範囲は拡大すると考えられ,今回,地域のスポーツ分野にて,メディカルサポート活動を実施した。競技時間内の身体の不調は,痛み・筋肉の張りが多く,部位別では大腿前面・外側,膝,下腿後面が多い。マラソンコースは坂や階段も多く,抗重力筋群に負担が掛かると考える。また,頚部や上肢の訴えもあった。テーピングは,膝が最も多かった。しかし,病院や施設では,テーピングを行う機会は少なく,今後勉強会や研修会等を行う必要があると考える。『ぜひ利用したい』が81.0%や『もっとサポート箇所を増やして欲しい』等の要望も多く,地域でのスポーツ分野においても,PTを必要としていると考える。

【倫理的配慮,説明と同意】

2nd日光100kmウルトラマラソンに関する個人情報を取り扱う,主催『日光をランナーの聖地』とする実行委員会,日光100kmウルトラマラソン大会事務局,及び日光リハビリネットワークより許可を得て,個人が特定出来ないよう情報も配慮した。

著者関連情報
© 2019 日本理学療法士協会
前の記事 次の記事
feedback
Top