主催: 日本理学療法士協会
会議名: 第53回日本理学療法学術大会 抄録集
開催日: 2018/07/16 - 2018/12/23
【はじめに】 地域包括ケアシステムの構築に向けて、地域の中でリハビリテーション(以下、リハビリ)専門職同士が顔を合わせながら、活動する機会が増加している。2014年4月に神奈川県地域リハビリテーション三団体協議会(旧、神奈川県訪問リハビリテーション協議会)が設立され、訪問リハビリ従事者の育成やネットワークの構築、関係機関との連携などを目的に活動を続けている。我々はこの協議会の発足と前後して、2014年1月より宮前区リハビリテーション連絡会を立ち上げ、活動を開始し4年が経過したので、その状況を報告する。
【方法】 川崎市宮前区では、市内他区に先駆けリハビリテーション連絡会を立ち上げ、訪問リハビリ提供事業所を中心にリハビリ専門職同士のネットワーク構築を進め、地域課題に対して取り組んできた。ネットワークの構築については区内にある訪問リハビリの資源把握、各事業所の特色や強み、訪問エリアなどを網羅した事業所一覧を作成した。また、ネットワークの構築に伴い、グループワークにて地域課題の抽出を行い、取り組みを開始した。設立半年後に区の高齢・障害課に対し、連絡会としてリハビリ専門職の活用をアピールした結果、区の地域ケア会議への参加依頼を受けるに至った。2016年度の介護報酬改定に合わせて訪問リハビリ提供事業所のみならず、病院をはじめとする医療機関や介護保険関連施設等、区内のリハビリ専門職の連絡会として、現名称に変更した。連絡会は年3回開催しており、連絡会に向けて運営委員が内容を企画し当日の運営を行うが、各委員の負担を分散しながら活動を行っている。
【結果】 2014年1月から2018年3月までに計15回連絡会を開催した。参加者は、理学療法士、作業療法士を中心に30名前後である。グループワークにて抽出された地域課題は、小児対応の訪問リハビリ提供事業所が少ないこと、福祉用具やコミュニケーション機器の活用方法や補装具の作製方法がわかりにくいこと、老々介護の認知症世帯への関わり方など主に3項目があげられた。地域課題の1つである小児の訪問リハビリに対しては、区内療育センターの理学療法士を講師として招き、研修会や小児の訪問リハビリ経験者からの報告会などを行い、小児に対応できる人材を増やすことを目指している。区レベルの地域ケア会議には計12回参加し、区の訪問看護ステーション連絡会や介護支援専門員連絡会などの参加団体とも顔を合わせ、事業所一覧の配布や課題に応じてグループワーク等を行っている。
【結論】 連絡会を通じて区内のリハビリ専門職や施設間同士が顔の見える関係となり、ネットワークが構築されてきた。病院をはじめとする医療機関や地域で活躍するリハビリ専門職をつなげる会として活動を行い、今後、継続して区内のリハビリ専門職が抱える課題を抽出し対応を進めるとともに、多職種や医療と介護連携、地域包括ケアシステムの構築に関与していきたい。
【倫理的配慮,説明と同意】 本報告に際し、関係団体及び個人に発表の趣旨を説明し、同意を得た。
また、個人が特定されないように配慮して報告する。