理学療法学Supplement
Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
セッションID: 2-O-23-3
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一般演題
幼児における足趾の形態異常と靴の関係
小島 聖丸尾 朝之金城 智代小間井 宏尚
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キーワード: 浮き趾, 内反小趾, 靴サイズ
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抄録

【はじめに、目的】

近年、子どもの足に浮き趾や内反小趾などの形態異常が生じていると報告されている。これらの原因については、活動量の減少や靴の影響などが指摘されている。しかし、足趾の形態異常と靴との関係を調査したものは見当たらない。そこで本研究では、足趾に生じる形態変化と靴の関係を明らかにすることを目的として実施した。

【方法】

A市内の幼稚園、こども園に通園している幼児で、本研究の実施に同意が得られた711人のうち、全測定項目が実施可能であった629人(3歳児193人、4歳児206人、5歳児230人)の両足1,258足を対象足とした。足底接地状況の調査は、Foot Look(フットルック社製)を用いた。左右の足の幅は任意とした安静立位で姿勢を保ち、足裏をスキャンして画像データとした。得られた画像データを専用解析ソフトにて解析し、足長、足幅、母趾角、小趾角、内側縦アーチの形成度を算出した。また、安静立位で足部内側面を写真撮影し、その画像データから舟状骨高を算出した。舟状骨高を足長で除し、アーチ高率を求めた。靴は通園時に使用しているものを用い、サイズを記録した。靴サイズと足長の差をサイズ差として算出した。サイズ差が0〜1.0cm以内の適合群と1.1cmよりも大きい不適合群の2群に分けた。統計ソフトR(ver.3.5.0)を用いて、群間による形態異常の発生率をFisher's exact testにより比較検討した(p<0.05)。

【結果】

適合群、不適合群の順に、母趾角が16度以上の割合は6.7%、2.0%、小趾角が12度以上の割合は33.8%、38.2%であり、内反小趾の発生率のみ有意差が認められた(p<0.05)。浮き趾を認める割合は52.6%、74.5%であり、有意差が認められた(p<0.01)。アーチの形成度は44.5%、48.6%であり、有意差は認められなかった。

【結論(考察も含む)】

本調査の結果から、幼児にも高い割合で内反小趾と浮き趾が生じている実態が明らかとなった。調査方法は異なるが、岩瀬らの報告(2017)や原田の報告(2004)を概ね支持する結果となった。また、この結果から足と靴の不適合が内反小趾や浮き趾などの形態異常を生じさせる一因と考えられるが、原田が指摘するように生活習慣や活動量の低下も足部形態に大きく関与しているため検討を重ねる必要がある。

【倫理的配慮,説明と同意】

本研究の実施前に、対象者とその保護者には研究の趣旨を説明し、書面にて同意を得た。また、測定前にもインフォームドアセントを行い、自由意志で参加・不参加の決定を保証した。本研究は所属機関の倫理委員会の承認を得てから実施した(承認番号 第28-13号)。

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© 2019 日本理学療法士協会
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