主催: 日本理学療法士協会
近年の先行研究によれば,変形性股関節症の進行を遅延させるために“立脚期の股関節内・外転モーメントインパルス”が低減された歩行様式を解明することが重要である。そのため,我々は立脚期の股関節内・外転モーメントインパルスに与える要因をシステマティックレビューで報告した(Inai et al., 2018, Gait & Posture)。さらに,このシステマティックレビューを踏まえ,立脚期の股関節内・外転モーメントインパルスに与えうる要因(対側杖の使用,歩行速度の低下)を実際に検討し報告した(Inai et al., 2019, Gait & Posture; Inai et al., 2019, PeerJ)。加えて,現在我々は歩幅やケイデンスが立脚期の股関節内・外転モーメントインパルスに与える影響(Inai et al., under review),および立脚期の股関節内・外転モーメントインパルスと“股関節間力”との関係性(Inai et al., under review)に関する研究を進めている。本講演では,我々がバイオメカニクスを用いて明らかにしたこれらの知見を紹介するとともに,変形性股関節症の進行を遅延させるための臨床応用の可能性まで踏み込む。