抄録
地方企業が域外消費者との相互作用を通じて、不確定性を超える信頼をいかに形成して事業成長を実現するか。また危機に際して顧客のコミットメントが、どう復興に貢献するかを被災企業のケースで検討した。消費者は初回購買段階で、地域についての知識を適用し、また提供者の人格認識によって売り手を信頼して商品を購入した。事業者は自己表出を動的に操作する表現開発能力により信頼を形成していた。持続的購買段階で顧客は、売り手の振舞いを観察し、過去の行ないと未来への意思などの知識を得て信頼を深め関係を持続させた。事業者は顧客と価値を共創する動的な商品開発能力を得ていた。危機に際して顧客はコミットメントによる支援の意味をもって購買関係を持続し、売り手側も事業実践を返報の意味に捉え返していた。