抄録
まちづくりにおいて文化政策と移住促進が注目を集めているが、先行研究では文化政策と移住促進の関連性や課題は明らかにされてこなかった。本研究の目的は文化政策と移住促進の関連性の実態と課題を明らかにすることであり、豊岡市の演劇のまちづくりを事例に政策資料と前現市長・移住者へのインタビュー結果を分析する。研究の結果、文化政策と移住促進の関連は地域活性化に寄与するクリエイティブ人材としての移住者の活躍の土壌をつくる一方、本事例では逆機能としての反発や不満が生じており、要因として政策過程の不透明性、政策意図や予算の市民への説明不足、行政主導のアクター偏在構造などの課題があったことが明らかになった。