抄録
中国地方の山間部には江戸時代以来の「紙漉き」が伝えられている地域が多数存在する。山口県周南市の北東部に位置する須金地区では産業としての紙漉きは戦後に一度途絶えたが、昭和50年代に伝統文化として復興を遂げた。その際に、和紙を利用して独特の技法によって行われる「和紙絵」と呼ばれる工芸が生まれた。地方の中山間地域の例にもれず、当地でも少子高齢化が進み、紙漉きおよび和紙絵の継承は危機にさらされている。本研究では、須金和紙絵が「新しい伝統工芸」として地域おこしのシンボルとなり得るかという観点から、紙漉き・和紙絵に対する地元民の意識を調査した。