抄録
近年、輸入材の価格高騰や国産材の需要増を背景として、国産広葉樹への注目が高まりつつある。その一方で、国産広葉樹のほとんどが木材チップとして安価に流通しており、広葉樹の付加価値を高められていないことが課題として挙げられる。本稿では、岐阜県飛騨市の広葉樹を活用した取り組みの事例報告を行う。飛騨市の取り組みでは、様々な主体による協調を通じて価値を創造しているが、この協調による価値創造を一つの「ビジネスエコシステム」として捉え、主体間のどのような協調関係を通じて広葉樹の価値が生み出されており、どのような点に課題が残されているのかを明らかにする。また、顧客が使用する商品価値の意味という視点から、広葉樹の付加価値についての検討を行う。