水俣条約の発効に伴い、廃水銀および廃水銀等を処分する場合には、硫化・固型化することが義務付けられた。しかし、最終処分後における改質硫黄水銀固型化物(以下、固型化物)の微生物反応による劣化が懸念されている。本研究では、pHの変化が固型化物からの水銀溶出挙動に与える影響を調査するため、酸性条件下においてpH依存性試験を実施した。本研究では、pH 2.0 - 3.0の硫酸イオンの共存下において溶存態水銀濃度が著しく増加した。これは、硫黄酸化細菌の存在条件下において固型化物の安定性が低下するだけではなく、水銀の溶出が促進される可能性を示唆している。また、pH 1.0の強酸性条件下では、pH 2.0と比較して、硫化水銀の溶解抑制が生じる可能性が併せて示唆された。