抄録
深刻な人口減少と産業衰退が進行している能登地域で、小規模企業の事業継承を行う株式会社ノトツグの取り組みを報告する。ノトツグは、地方に若い経営者を増やすことをKPIとして、民間の力を結集させてネットワークを築きながら廃業問題に取り組み、複雑な要素が絡み合う地域の産業活性化を目指す株式会社である。本論の事例研究から、地方の産業を持続させるために重要な点として、組織間の契約締結などに基づく裏打ちされた関係性において少人数で力を結集させること、関係する主体が目的や目標を十分に共有していること、行政主導ではなく民間主導で補助金・助成金等に依存しないキャッシュフローに基づいた自走可能な活動を構築することが示唆された。