2021 年 76 巻 5 号 p. I_709-I_717
日本各地において,「居心地が良く歩きたくなるまちなか」を目指した街路運用の検討が進んでいる.本来は車を締め出し歩行者専用空間にすることが理想だが,反対の声も強く実現しにくいのが現状である.よって,車を締め出さずとも歩きやすい街路空間を形成する必要がある.そこで,本研究では,現存する商業地区内街路のうち歩車混合空間に着目し,すれ違い時の回避行動において歩車間に発生している相互作用を明らかにすることを目的とする.歩車混合空間にてビデオを撮影し,両者の1/30秒ごとの座標から回避行動に至るまでの位置関係や速度,車種などを記録した.それらのデータを分析した結果,歩車は互いの回避行動の様子を見ながら最低限必要な側方距離を確保することが明らかとなった.