Furlow法を用いたHotz床併用二段階口蓋形成法により管理した42例の片側性唇顎口蓋裂症例(以下,F群)について,8歳までの言語発達への影響を検討した。さらに,PerkoのWidmaier変法(以下,P群:75例)を用いた結果と比較検討した。
1.8歳時の鼻咽腔閉鎖機能獲得率はF群とP群で有意差はなかった。また,これまでの報告にある一段階法の獲得率と同程度であった。
2.F群における鼻咽腔閉鎖機能は4歳から5歳時に著明な改善を示し,P群よりも早期に鼻咽腔閉鎖機能が改善していた。
3.F群における8歳時までの正常構音獲得過程は,P群に比し異常構音の音韻数が少なく自然治癒も多かった。しかし両群ともに獲得のピークは硬口蓋閉鎖術後で,正常構音の獲得には言語聴覚士による構音訓練終了例が多数を占めた。
4.近年私達は言語機能の発達が遅れることを回避するために,硬口蓋閉鎖手術の時期を早めて4歳頃で施行している。今後も症例を重ね言語機能,顎発育への影響について検討を行っていく予定である。