日本口蓋裂学会雑誌
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シンポジウムI
口蓋裂治療における多施設連携型のチーム医療
前川 圭子岩城 忍澤田 正樹山本 一郎
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2013 年 38 巻 1 号 p. 2-6

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抄録

口唇口蓋裂治療でチーム医療を行う場合,同一施設所属のメンバーを中心に構成されることが多いが,高い専門性を要するが故に,同一施設内に専門家がいるとは限らない。今回は我々が行っている多施設連携型のチーム医療としての取り組みである,カンファランスと医療キャンプについて報告する。
カンファランスは,複数施設の形成外科医,歯科医,言語聴覚士が一堂に会し,治療に難渋する患者を診察し,治療方針を決める会で,年に3回開催される。患者への問診,内視鏡,セファロX-Pなどを用いて診察後,治療法決定のための議論を行う。各職種の意見を集約して迅速に治療方針を決定でき,治療者同士の情報の正確な共有が可能になる。また若手や症例の少ない施設のスタッフも,検査所見解釈や治療方針立案などを学ぶ機会になる。
医療キャンプは全人的な口唇口蓋裂治療を目指した取り組みで,年に1回開催される。スタッフにとって,患者のコミュニケーション能力や生活能力などを多面的に観察できる機会となっている。さらに患者・家族同士の交流は,疾患や治療に理解を深める機会となり,心理的安定の一助となっている。

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© 2013 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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