日本口蓋裂学会雑誌
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原著
口蓋裂を伴うPierre Robin sequence症例の臨床的検討
佐藤 公治相澤 貴子小林 義和近藤 俊今村 基尊水谷 英樹奥本 隆行吉村 陽子堀部 晴司内藤 健晴山田 守正
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2013 年 38 巻 1 号 p. 71-76

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抄録

Pierre Robin sequence(PRS)は小下顎,舌根沈下,上気道閉塞による呼吸障害を主要症状とする病態で,口蓋裂を合併することが多い。出生直後から呼吸,摂食管理を必要とし,周術期管理,言語,摂食嚥下訓練などに苦慮することがある。今回,2006~2010年に当センターを初診したPRS1次症例26例に対し,症候群合併の有無から,non syndromic(ns)PRS,syndromic(s)PRS,さらに症候群不明の多発先天異常を伴うunique(u)PRSの3群に分類し,後方視的検討を行ない以下の結果を得た。
1.26例中男児10例,女児16例,ns PRS 14例,s PRS 10例,u PRS 2例であった。
2.初診時日齢は1~291日,出生時体重は,ns PRS 2,932±447g,s PRS 2,850±571g,u PRS 1,607±804g,ns PRSとs PRS間に有意差はなかった。
3.必要とした呼吸,摂食管理として,I期(新生児~6ヶ月)には,ns PRSで気管挿管を要したもの1例,経管栄養を要したもの10例,s PRSで気管切開を要したもの3例,経管栄養を要したもの8例,u PRSで気管挿管を要したもの1例,経管栄養を要したもの1例であった。II期(手術検討期;1歳~1歳6ヶ月)には,ns PRSでは呼吸・摂食とも管理不要となった。s PRSでは3例が気管切開のまま,6例で経管栄養が継続されていた。u PRSではいずれも管理不要であった。
4.ns PRSでは月齢24.9±7.0ヶ月に全例口蓋形成術が施行された。u PRSでも月齢40.5±4.9ヶ月に2例とも口蓋形成術が施行された。一方,s PRSでは手術不要1例,施行1例,予定2例で,6例では手術未施行であった。周術期合併症としてns PRS 1例で術後出血を認めた。

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© 2013 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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