日本口蓋裂学会雑誌
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症例
口蓋裂一次手術と顎裂部骨移植術および上唇外鼻二次修正術を同時に施行した成人の右側唇顎口蓋裂の一例
杉山 知子野口 忠秀小山 潤土屋 欣之伊藤 弘人三宅 真次郎笹栗 健一神部 芳則草間 幹夫須賀 賢一郎内山 健志
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2014 年 39 巻 1 号 p. 34-40

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抄録
われわれは口蓋裂が未手術のまま経過した右側唇顎口蓋裂の成人例に対し,口蓋形成術,口腔前庭部の瘻孔閉鎖術と顎裂部の骨移植術ならびに上唇外鼻の二次修正術を同時に行い,比較的良好な結果を得たので,その概要について報告する。
患者は20歳,男性。生後3ヶ月に某大学附属病院にて口唇形成術を受けたが,その後の治療は放置されていた。歯列矯正と口蓋の閉鎖を希望され2011年2月当科初診となった。口腔内所見として,口蓋裂と顎裂部の鼻口腔瘻が認められ,咬合はAngle class Iで,顎裂部には矮小歯を認めた。また開鼻声と軽度の構音障害が認められた。治療法は,術後の歯列矯正も考慮して口蓋形成術に併せて顎裂部骨移植術ならびに上唇外鼻二次修正術を計画した。手術は経口挿管麻酔下に,最初に口蓋形成術を,次いで顎裂部骨移植術を行った後,上唇と外鼻の二次修正術を施行した。術後は口蓋垂の軽度変形を認めるも経過は良好であり,言語治療と歯列矯正治療も行っている。
本例は成人例のため,鼻咽腔閉鎖機能の積極的な獲得より,むしろ骨移植された顎裂が良好に閉鎖される必要があると考え,手術設計に若干の考慮をした。すなわち口蓋弁の後方移動は最小限とし,口蓋形成術により口蓋前方部に生ずる骨露出面積をできるだけ小さくし,鼻口腔瘻を閉鎖するとともに顎裂部骨移植術部を十分な粘膜で被覆するよう術式を工夫した。比較的良好な結果が得られ,患者と家族は満足している。
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© 2014 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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