日本口蓋裂学会雑誌
Online ISSN : 2186-5701
Print ISSN : 0386-5185
ISSN-L : 0386-5185
総説
第41回日本口蓋裂学会学術集会における双方向性シンポジウムの報告
〜シンポジウムⅡ 未来の口蓋裂治療を目指して,今考えるべきこと〜
第41回日本口蓋裂学会総会・学術集会 事務局
著者情報
ジャーナル 認証あり

2018 年 43 巻 1 号 p. 1-5

詳細
抄録

学会の意義の一つには,参加者が様々な診断技術や治療法に関する学術的な情報を得て,自身の臨床に寄与する事があげられるが,現状として学会参加者は聞くだけに留め置かれる事も多い。そこで,第41回学術集会では,クリッカーナノを用いた双方向性のシンポジウムとして試験的に実施することとした。本シンポジウムのテーマを,『未来の口蓋裂診療を目指して,今考えるべき事』とし,口蓋裂治療における未解決の問題や,地域医療の問題,言語治療の最終目的に関して討議された。質問の内容は,職種・臨床経験年数・治療症例数から,口蓋裂治療の臨床・教育・研究に関する様々な質問を用意し,回答を集計,供覧した上で,シンポジスト全員で討議を行った。その結果,会場の参加者は310名で,その内訳は矯正歯科医161名,形成外科医50名,口腔外科医40名,それ以外(コメディカルスタッフや言語聴覚士,その他の科の先生)が59名であった。中でも20年目以上のベテランの矯正歯科医の参加が一番多く全体の24%であった。治療経験症例数に関しては30症例以下が35%,100症例以上が38%であった。担当者間の治療のばらつきを無くす手段として,全科統一してカンファレンスの実施が一番多く68%であった。術前顎矯正に関してはNAMが39%,次いでHotz床が35%であり両装置で全体の7割を超えていた。口蓋閉鎖術の術式は,Furlow法が一番多く40%で,次いでPush back法が29%,Two flap法が11%と続いた。その他にも卒後教育や治療施設の集約化に関する質問の集計結果が得られた。本シンポジウムを通して,臨床における現状と,今後の口唇口蓋裂治療を発展させるために解決すべき問題点が明らかとなった。

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本口蓋裂学会
次の記事
feedback
Top