抄録
米国オハイオ州にあるNationwide Childrenʼs Hospital(NCH)の口腔顎顔面領域の専門外来である口唇口蓋裂センター,鼻咽腔閉鎖機能不全クリニック,22q11.2欠失症候群クリニック,鼻咽腔閉鎖機能不全プログラム,および言語療法クリニックにて,口唇口蓋裂に関する見学研修と臨床研究指導を受ける機会を得たので報告する。
言語療法クリニックでは口唇口蓋裂クリニックなどの専門外来の評価・治療方針に基づき,言語療法が実践されていた。構音については,6ヶ月の口蓋形成術前から,表出言語への刺激と構音障害の予防を意図した早期介入が行われていた。鼻咽腔閉鎖機能不全については,構音訓練を先行し,正しい構音で鼻咽腔閉鎖の動きを最大化することに重点が置かれていた。NCHでは言語療法優先の治療システムが確立され,構音訓練で鼻咽腔閉鎖の賦活を行った後に口蓋二次形成術の検討がなされていた。
言語における治療ゴールの「年齢に適した明瞭なスピーチの獲得」は本邦も同様であるが,構音への早期介入や鼻咽腔閉鎖機能不全に対する方略は異なっていた。
研修で得た知見から,構音障害の予防や早期介入の工夫など,本邦にも積極的に導入しても良いのではないかと思われた。またエビデンスに応じた言語の介入の重要性を痛感した。