日本口蓋裂学会雑誌
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臨床
海外研修報告 米国 Nationwide Childrenʼs Hospital Craniofacial Clinic での 口唇口蓋裂に関する治療体系
緒方 祐子早川 統子
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ジャーナル 認証あり

2020 年 45 巻 1 号 p. 16-21

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抄録
米国オハイオ州にあるNationwide Children’s Hospital(NCH)の口腔顎顔面領域の専門外来である口唇口蓋裂センター,鼻咽腔閉鎖機能不全クリニック,22q11.2欠失症候群クリニック,鼻咽腔閉鎖機能不全プログラム,および言語療法クリニックにて見学研修と臨床研究指導を受ける機会を得たので報告する。  NCHの形成外科では主に,口腔顎顔面領域の手術や言語障害の評価を行っていたが,対象疾患は口唇口蓋裂のみではなく,22q11.2欠失症候群,鼻咽腔閉鎖機能不全や関連する言語障害であった。  診察には,形成外科医,耳鼻科医,口腔外科医,遺伝専門医,矯正歯科医,臨床心理士,言語療法専門職,看護師,チームコーディネーター,社会福祉士など多職種連携治療が徹底され,患者や家族への医療サービスが実施されていた。  患者の会のイベント・講演会はNCHが全面的にサポートをしており,SNSを積極的に活用して,イベントや講演会,専門外来の案内・報告等がなされていた。  治療体系を本邦と比較すると,チームでの評価や治療方針を決定する専門外来と日常の言語臨床を行う専門外来が分けられており,対象疾患のチーム全員で多職種による共通理解のもと,治療が進められていた。また,医療職をサポートする事務などのスタッフの存在があり,業務が細分化されて,業務に専念できる環境であった。今回,研修で得た知見から,多職種連携の重要性について再認識した。
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© 2020 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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