日本口蓋裂学会雑誌
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症例
口唇形成術後に肺炎加療を要した13トリソミー患児の一例
中囿 賢太石畑 清秀岐部 俊郎手塚 征宏渕上 貴央中村 典史
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2020 年 45 巻 3 号 p. 220-224

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抄録

13トリソミーは,Patauによって1960年に報告された,全身奇形を合併する染色体異常疾患である。生命予後は極めて不良で,1歳以内に90%が死亡するとされている。13トリソミーをはじめ,染色体異常症例に対する治療方針は施設によって様々であり,一定の見解が得られていないのが現状である。今回我々は,両側性唇顎口蓋裂を伴った13トリソミー患児に対し,口唇形成術を施行し,術後肺炎の加療を要した一例を報告する。患者は2歳,女児。全身麻酔下にManchester変法による口唇形成術を施行した。1歳2ヶ月時に既に気管切開を受けており,術中の人工呼吸管理は気管切開チューブを利用した。術中の全身状態に大きな問題もなく,術後はICUにて管理を行った。しかし,術後3日目に重篤な肺炎に罹患し,小児科医の協力の下,人工呼吸器管理,カルバペネム系抗菌剤ならびに免疫グロブリン製剤の投与を行い,症状は改善し,術後14日目に退院した。術後1年6ヶ月経過後も全身状態は比較的安定し,創部の状態も経過良好である。

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© 2020 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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