抄録
本研究では, 優れた前処理として定評のある Eisenstat前処理を取り上げる. さらに, Eisenstat前処理に著者たちが提案した定常型前処理を組み合わし, 一層の収束性の向上を目指す. また, 共役勾配法ではなくMRTR法を研究対象とし, その収束性改善の度合いを評価した. その理由は, MRTR法が実際のアプリケーション分野で利用され始めたことに起因する. 数値実験では, 染原らの提案によるEisenstat版DIC分解型前処理付きMRTR法, 定常型前処理の一つであるGS(Gauss-Seidel)型前処理付きMRTR法と比較し, Eisenstat版GS型前処理付きMRTR法の収束性の優位性を示す.