日本口蓋裂学会雑誌
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原著
口唇裂・口蓋裂児のQOLにおける自己評価と保護者による評価の検討
香西 早苗中新 美保子稲川 喜一井上 信次手塚 征宏岐部 俊郎中村 典史
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ジャーナル 認証あり

2021 年 46 巻 3 号 p. 153-159

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抄録

本研究の目的は,口唇裂・口蓋裂児(Cleft Lip and/or Palate:以下CLPと記す)のQOLの自己評価と保護者による評価の差異と関連要因を明らかにすることである。133組のCLP児と保護者を対象に日本語版KINDLRを用いた質問紙調査を行い分析した。結果,自己評価と保護者による評価は総得点および全ての下位領域得点に正の相関が認められた。QOL総得点は自己評価が保護者による評価より低かったが,有意差はなかった。同様に,下位領域の<身体的健康><自尊感情>は有意に低く,<家族>は有意に高かった。特に<自尊感情>においては,性別の女子,校種別の小学生・中学生,裂型の口唇裂(顎裂含)・口唇裂口蓋裂等の関連要因との比較において自己評価が低く有意差があった。保護者による評価と比較したCLP児の<自尊感情>の低さが最も気がかりである。手術や定期的な受診で医療者と関わることが多いCLP児と保護者ではあるが,常に児が自信を持てる声掛けや対応を心がけることが我々医療者に示唆されている。

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© 2021 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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