日本口蓋裂学会雑誌
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症例
左側唇顎口蓋裂患者に対して一貫治療を行った1症例
水野 友香谷川 千尋村田 有香山城 隆
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2023 年 48 巻 1 号 p. 69-78

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抄録
口唇裂・口蓋裂を有する患者では,上顎骨の三次元的な劣成長による前歯部反対咬合,臼歯部交叉咬合,咬合平面の傾斜を呈することが多い。今回,上顎歯列弓の狭窄を伴う唇顎口蓋裂患者において,当院にて唇顎口蓋裂の一貫治療を行ったことにより,調和のとれた顔貌を獲得するとともに,良好な咬合関係が得られた。
患者は左側唇顎口蓋裂を有する初診時年齢6歳1ヶ月の男児で,骨格性の問題は認めず,上顎歯列弓は狭窄しており前歯部反対咬合および両側臼歯部交叉咬合を呈していたため,第Ⅰ期治療では上顎歯列の側方拡大を行い,顎裂部骨移植術を施行した。その後成長観察を行っていたが,下顎骨の前方成長に伴い,第Ⅱ期治療開始時には,上顎骨の後方位および下顎骨の前方位による骨格性3級であった。側貌はコンケイブタイプであり,中顔面は陥凹し,下口唇は前突していた。口腔内所見では,overjetは-4.2mmと小さく,overbiteは3.7mmであり,上顎左側側切歯は矮小歯であった。上下顎歯列の正中は不一致であった。また,軟口蓋の長さが短く鼻咽腔閉鎖機能不全を認めた。第Ⅱ期治療ではマルチブラケット装置により上下顎歯列の排列を行った後,上顎左側側切歯を抜去し,上下顎骨切り術を行った。上顎骨はLe Fort Ⅰ型骨切り術により前方移動および臼歯部の上方移動を行った。下顎骨は下顎枝矢状分割術(sagittal split ramus osteotomy;SSRO)により,前方移動を行った。その後,術後矯正治療で咬合の緊密化を図り,オトガイ形成術,口唇外鼻修正術,咽頭弁形成術を行った。Le Fort Ⅰ型骨切り術による前方移動,SSROによる下顎骨の後方移動に伴い,中顔面の陥凹感は改善し,下口唇は後退した。良好な側貌,咬合状態および鼻咽腔閉鎖機能の改善が得られた。
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© 2023 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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