抄録
口蓋裂の術後に,いったんは良好な鼻咽腔閉鎖機能を獲得したものの,成長に伴い鼻咽腔閉鎖機能不全を生じた患者に対して,自家脂肪注入術が有効であると報告されている。国立成育医療研究センターでは2019年より,安全性と有効性の評価を目的として前向き研究を開始しており,現在までに1名に手術を施行した。発声時の鼻咽腔間隙の狭小化が得られ,鼻咽腔閉鎖機能は対面評価で軽度不全からごく軽度不全に改善した。本治療は安全に施行可能であり,これまでは侵襲と効果のバランスがとれた最適な治療選択肢がなかった患者群に対して,有望な治療法であると考えられた。