当科開設以来,1981年から2021年までの40年間に鹿児島大学口腔顎顔面外科を受診した口唇裂・口蓋裂一次症例1,446名について臨床統計的観察を行った。
結果は以下の通りである。
1.40年間に当科を受診した一次症例は1,446名であった。
2.裂型別患者数では,唇裂が483名(33.4%),唇顎口蓋裂が551名(38.1%),口蓋裂が412名(28.5%)であった。
3.男女比は,男性748名,女性698名で1.07:1であった。
4.初診時年齢は,生後から20歳の間において,生後1ヶ月未満が939名(65.0%)で最も多かった。
5.出生時体重は,平均2,936.2gで,2,500〜2,999gが527名(37.0%)で最も多かった。
6.患者の居住地は,鹿児島県内が1,130名(78.2%)であり,鹿児島県外が316名(21.8%)であった。
7.初診時の来院経路(紹介元医療施設)は,院外の産科・婦人科からの紹介が最も多く,次いで小児科・周産期・母子センターからの紹介が多かった。
8.先天異常を合併した患者は,134名(9.3%)に認められた。
9.2006年から開始した往診数,出生前カウンセリング数は計276件で,2011年以降,増加してきた。出生前カウンセリングを行うことで,家族への精神的負担を軽減できた。
10.裂型別の症例数は,いずれの期間も唇顎口蓋裂,唇裂,口蓋裂の順であった。男女比は,Ⅰ期,Ⅲ期,Ⅳ期で男性に多く,Ⅱ期は女性に多くみられた。初診時年齢は,Ⅰ期では生後1ヶ月未満の受診が半数以下であったが,Ⅱ期,Ⅲ期,Ⅳ期は約70%程度が生後1ヶ月以内に受診していた。 2,500g未満の低出生体重児の割合は,Ⅰ期10.4%,Ⅱ期16.8%,Ⅲ期21.4%,Ⅳ期12.4%であった。近年では,小児科・周産期・母子センターからの紹介が多くなっていた。先天異常の合併の割合は,口蓋裂が5.1%で,次いで,唇顎口蓋裂が3.1%,唇裂が1.0%であった。
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