日本口蓋裂学会雑誌
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口蓋裂と鼻副鼻腔疾患
石川 保之田坂 康之川野 通夫本庄 巖
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1986 年 11 巻 2 号 p. 199-205

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抄録

口蓋裂例における鼻副鼻腔疾患の実態を調べるため, 口蓋裂患者101例を対象として, 前鼻鏡, レントゲン撮影(単純, 断層), 鼻腔通気度, 嗅裂内視鏡等の諸検査を行い, さらに, 鼻疾患と中耳の関係をみるために, 耳鏡検査, 標準純音聴力検査, インピーダンスオージオメトリーも行ったところ以下の結果を得た.
1)唇顎口蓋裂は鼻中隔蛮曲症, 下甲介肥大を高率に伴う.
2)口蓋裂患者は副鼻腔炎を高率に伴い, これは中耳疾患の病因の一つである可能性がある.
3)副鼻腔炎の頻度は口蓋裂の裂型や鼻中隔蛮曲の有無とは相関がない.
4)口蓋裂に高率に伴う副鼻腔炎, 鼻中隔蛮曲, 下甲介肥大は口蓋裂患者の鼻腔抵抗を高めている.
5)口蓋裂患者の嗅覚障害は軽度で, この主因は副鼻腔炎による嗅裂の閉塞にあると思われる.

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© 一般社団法人 日本口蓋裂学会
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