抄録
口蓋烈乳児の吸啜を乳首圧迫圧の面から観察した結果をもとにして, 口蓋裂乳児の口腔内環境に適合し, 乳児の哺乳運動を促進し, これによる哺乳摂取量の確保を期待した新しい口蓋裂乳児用乳首を考案した.この試作乳首の物理的特性(乳頭部加圧荷重と変形量, 乳頭部変形量と乳汁流出量との関係)について市販されている一般乳首と比較検討した.その結果, 口蓋裂乳児では乳首圧迫圧が正常乳児よりも著しく弱いこと, 試作乳首は弱い圧迫圧によっても充分対応し哺乳摂取量の確保が期待できる特性を有していることが示された.